著者
安藤 寿男 栗原 憲一 高橋 賢一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.S185-S203, 2007
被引用文献数
3

北海道中軸部の空知-蝦夷帯に広く分布する蝦夷層群は,白亜紀アプチアン~古第三紀暁新世の間に,サハリン南部から本州中部鹿島沖にまで続いた長大な前弧堆積盆にもたらされた堆積物で,北東アジアの海成層の模式層序となっており,当時の古環境変遷を復元するには重要な地層である.この巡検では,蝦夷層群が層序的に厚くかつ広域に分布する三笠-夕張地域において,陸海断面方向や時間層序学的にどのような堆積相変化を示すのかに注目して,セノマニアン~チューロニアン階の三笠層と佐久層,およびカンパニアン~暁新統の函淵層を中心に見学する.三笠層と函淵層では,様々な堆積構造を観察した上で,河川~浅海成堆積相や堆積シーケンスの特徴を把握する.また,三笠層の浅海生軟体動物群集やそのタフォノミーについても注目する.一方,東方同時異相である佐久層では,沖合成の泥質岩相やタービダイト相に加えて,セノマニアン/チューロニアン境界の海洋無酸素事変層準やアンモナイト群集の特徴も取り上げる.さらに,白亜紀のアンモナイトコレクションを三笠市立博物館で,古第三系始新統石狩層群の石炭層を夕張市石炭博物館で見学する.

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