- 著者
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野溝 万吏
馬場 長
鈴木 彩子
山西 恵
山口 綾香
角井 和代
松村 謙臣
吉岡 弓子
近藤 英治
佐藤 幸保
濱西 潤三
小阪 謙三
万代 昌紀
小西 郁生
- 出版者
- 近畿産科婦人科学会
- 雑誌
- 産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.1, pp.40-45, 2013
子宮びまん性平滑筋腫症は,無数の小さな筋腫結節が粘膜直下の子宮筋層にびまん性に増生する病態を呈し,特殊な発育様式をとる子宮筋腫に分類される.小筋腫は往々にして100個を超えて筋層内および粘膜下に発育し,高度の過多月経や月経痛を生ずるため,手術や薬物治療が必要となる.20~30歳代の女性に好発することが知られており,妊孕性を保った管理法が求められるが,従来の核出術では多数の筋腫を核出することは容易でなく,術後すぐに再発することが多い.今回,われわれは高度貧血をきたす子宮びまん性平滑筋腫症を認め,また妊孕性温存を希望する姉妹の例を経験した.いずれも術前に長期間の偽閉経療法を行った後に,子宮を半割し小筋腫核を可能な限り核出することで,術後長期にわたって過多月経や月経痛を伴うことなく経過観察が可能であり,1例では術後に生児を得た.実母も若年から多発子宮筋腫を発症し,同症であった可能性が高く,同症が家族性に発症することが示唆される.今後の症例集積により病態解明および若年患者の管理法がさらに確立することが期待される.〔産婦の進歩65(1):40-45,2013(平成25年2月)〕