著者
横山 泰
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.175-179,A12, 1962

β一オキシーα,α一ジメチルーβ一フェニルプロピオン酸エチル(I)はベンゼン中五酸化リンにより,エトキシカルボニル基の1・2一転位したジメチルアトロバ酸エチル(II)を生成するD。これが脱水試剤の特殊性によるか否かを確かめる目的で種々の脱水剤を用いた結果,1はきわめて脱水され難いが多量の濃硫酸と処理するとジメチルアトロバ酸と若干のメチル基の転位し元生成物が得られることを見いだした。またこのカルボキシル基の転位が一酸化炭素の脱離と再付加による分子間転位でないことを確かめた。Iのρ-メチル,ρ一クロル置換体も同様の転位を起すことを見いだした。これら脱水反応に関連して脱臭化水素反応を検討する目的で,β一プロムーα,飴ジメチルーβ一フェニルプロピオン酸エチル(II)の液体アンモニア中カリウムアミドとの反応を行なった結果,カルボキシル基の1,2一転位したジメチルアトロバ酸アミドが得られることを見いだした。IIの硝酸銀との反応では置換隼成物のみが得られた。

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