著者
寺田 晃
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.757-759, 1960-05-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

α-オキシ-β-メチルアミノ-P-オキシエチルベンゼンをばれいしょから分離したチロジナーゼで酸化すると,アドレノクロムが生成することを認めた。またその酸素吸収過程を測定した結果,時間とともに直線的に3原子の酸素を吸収することがわかった。ゆえにこの場合は,チロジンのチロジナーゼによる酸化と同様な機構で反応が進むと結論した。
著者
寺田 晃
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.757-759, 1960
被引用文献数
1

α-オキシ-β-メチルアミノ-P-オキシエチルベンゼンをばれいしょから分離したチロジナーゼで酸化すると,アドレノクロムが生成することを認めた。またその酸素吸収過程を測定した結果,時間とともに直線的に3原子の酸素を吸収することがわかった。ゆえにこの場合は,チロジンのチロジナーゼによる酸化と同様な機構で反応が進むと結論した。
著者
後藤 俊夫 高橋 敞 岸 義人 平田 義正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.508-511,A40, 1964-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11

フグ卵巣の水抽出液を加熱除タンパク後,イオン交換樹脂に吸着させることを骨子としたテトロドトキシンの新抽出法を考案した。この方法によれば少なくとも全一量の50%以上の毒を結晶状に得ることができる。また通常の再沈殿法で精製したテトロドトキシンにはアンヒドロエピテトロドトキシンが混在し,それを除去するにはピクラートを経て精製する必要がある。この精製テトロドトキシンを用いれば,臭化水素酸塩を結晶として得ることができる。
著者
野口 喜三雄 中川 良三
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.127-131, 1970-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7
被引用文献数
4

1966年および1967年,著者らは青森県恐山温泉の温泉水16個,温泉沈殿物12個を採取し,そのヒ繋,鉛,その他の化学成分の含量を調査し,つぎの結果を得た。水のC1-含量は温度の上昇とともに増加し,SO42-の増加にしたがってPHが減少する。ヒ素およびホウ酸はCl-との蘭に正の相関が認められた。 恐山温泉を形成する始めの熱水はほぼ中性で塩化物,ヒ素,ホウ酸に富んでいる。また黄色の温泉沈殿物は雄黄(As2S3)の化学組成ならびにX線回折像を示したが,赤榿色沈殿物は鉛を含むヒ素の硫化物で,X線回折像は無定形であり,元来考えられていた鶏冠石とはまったく異なることを明らかにした。
著者
太秦 康光 那須 義和 瀬尾 淑子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.413-418, 1960-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

温泉水中のストロンチウム含量とその分布を明らかにし, さらに温泉の化学成分の起源を考える上の資料とする目的で, 前報までに報告した北海道, 青森県の温泉 117 泉源について炎光法によりストロンチウムの定量を行なった。温泉中のストロンチウムは 0.05~27mg/l の広い範囲を示し, すべての温泉に普遍的に存在している。とくに, 青森県舞戸温泉の 27mg/l という値は, 本邦でいままでに見いだされた最高値である。Ca:400mg/l 以上のものあるいはそれ以下でもある特徴を持った温泉ではカルシウムとストロンチウムとの間に相関性があり, その他はカルシウムの量の変化によるストロンチウムの変化は少ない。Sr/Ca 比は n×10-3~10-2 で, 10-3 以下の値をとるものは少なく酸性泉がこの範中に入る。n×10-2 の値をとる温泉ではその泉質に明らかに特徴がみられる。また, カルシウム以外の主成分はストロンチウムと関連性はない。温泉中のストロンチウムはカルシウムとともに岩石, 石灰岩から供給されていると考えられ, 温泉の化学成分の起源について考察する際に Sr/Ca 比は非常に有力な手段となると考えるに至った。
著者
井本 立也 原納 淑郎 西 泰英 益田 悟
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.106-109,A7, 1964-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2

酸化亜鉛を水素で還元する反応を,温度範囲665°~738℃,酸化亜鉛量40.0~70.0mg,初期水素量5~9cmHgで行ないつぎの結果を得た。酸化亜鉛量が水素量とくらべて少ない場合には,反応速度は酸化亜鉛の表面積に比例するが水素圧には依存しない。したがってこの反応は酸化亜鉛の分解過程が律速しており,その活性化エネルギーは17.0kcal/molであることを知った。これらの事実は酸化亜鉛量が水素量にくらべて多い場合について報告した既報の結果(酸化亜鉛の水素による還元反応の機構は,まず酸化亜鉛が酸素と亜鉛蒸気とに分解し,その酸素と水素とが反応して水蒸気となる)を支持する。
著者
岡田 実 亀本 雄一郎
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.641-642,A51, 1964

希土類元素の迅速定量法開発の一環としてイットリウムの定量法を研究した。中性子照射によってイットリウムから16sec<sup>80m</sup>Y が生成することを利用する簡易定量法として,3×10<sup>11</sup>n/cm<sup>2</sup>/secの原子炉中性子の14秒照射と,マルチチャネルγ線スペクトロメーター使用の4回の計数操作とによる方法を開発した。ジスプロシウムの妨害を減らすため,照射の際カドミウム容器を使った。本法でガドリナイトとサマルスカイトの中のイットリウムを定量した。起り得る妨害としてジルコニウム,ニオブ,およびネオンから高速中性子反応によって生ずる妨害放射能を検討し,いずれも小さいことがわかった。
著者
野副 鉄男 瀬戸 秀一 高瀬 嘉平 松村 進午 中沢 知男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.346-363, 1965-04-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
38
被引用文献数
13

2-クロルトロポンまたは2-メトキシトロポン(Ia, b)にアルコラートやアミンなどの触媒の存在下に2mol当量のシアン酢酸エチル(ECA)を働かせ一挙に2-アミノアズレン-1, 3-ジカルボン酸ジエチル(XV), 2-オキシ-3-シアンアズレン-1-カルボン酸エチル(XVI), 2-アミノ-3-シアンアズレン-1-カルボン酸エチル(XIX)および2-オキシ-1, 3-ジシアンアズレン(XX)の混合物が得られた。この反応で塩基の量の少ない場合はXVが,また多い場合はXXが主成物となる。トロポン核にアルキル基やその他の官能基の存在する場合にも反応は同様に進行し, 2-メトキシトロポン体からは正常置換, 2-クロルトロポン体からは異常置換を経て縮環したアズレンを与えることも明らかになった。このアズレン合成の反応機構を解明する目的でECAのかわりに,その二量体を働かせたところ,アズレン類は得られずに1-オキサアズラン-2-オンおよび1-アザアズレン誘導体(XX XVIIIおよびXX XIX)が得られた。一方ECAのかわりに,マロン酸ジエチル(DEM)を用いるときは塩基の量が少ない場合は3-エトキシカルボニル-1-オキサアズラン-2-オン(XX XIII)が得られるのみであるが,塩基の量を3~4mol当量用いると,こんどは2-オキシアズレン-1, 3-ジカルボン酸ジエチル(XX XIV)が得られ, XX XIVはまたXX XIIIにさらに過剰の塩基の存在下にDEMを作用しても得られた。このことから,このアズレン合成反応はつねに1-オキサアズラン-2-オンまたは2-イミン類を中間体として進行することが推定され, XX XIIIとECAやマロンニトリル(MNL)あるいはシアン酢酸アミド(CAA)とを反応させてそれぞれXV, XVI, XIXおよび2-アミノ-3-カルバモイルアズレン-1-カルボン酸エチル(LXVII)が得られることから,その推定の正しいことが実証された。さらに適当な条件下ではIa, bとECAから3-シアン-1-オキサアズラン-2-オン(L XX)および3-エトキシカルボニル-1-オキサアズラン-2-イミン(C VI), MNLでは3-シアン-1-オキサアズラン-2-イミン(L X XI), CAAでは3-カルバモイル-1-オキサアズラン-2イミン(L XX VI)がそれぞれ好収率で得られた。この際塩基や試薬の量を変えることによって一挙にアズレン体も得られるが,その詳細な検討もなされた。これらのオキサアズラノン体にさらに種々の活性メチレン化合物を作用して種々のアズレン誘導体が得られたが,その結果の詳細な検討から,活性トロポノイド(Ia, b)からのアズレン合成反応の機構は大きくわけて4段階で進行し,最後のアズレン生成の段階を除けばすべて平衡反応と考えられ,試薬の種類によっては各中間体は種々の型をとり得,その割合が塩基の量で左右されることなどがわかった。しかも各段階は非常にすみやかに進行し,第1段階を除けば各中間体を単離することはできない。すなわち第1段階では活性トロポノイドと1mol当量の活性メチレン化合物からそれぞれ最大2種の1-オキサアズラノン体(第1次中間体)が生成し,第2段階ではさらにそれぞれの9位を別の1molの活性メチレン化合物が攻撃して5員環が開き, 1位に活性メチン基を有すろ8, 8-ジ置換ヘプタフルベン体を与える。それぞれのオキサアズラノン体から得られるこの第2次中間体は最大4種の空間配置をとり得るが,その割合は各反応中心の官能基の求核性,求電子性のほか,さらには立体的な因子に支配されると考えられる。第3段階では第2次中間体の求核中心のメチン基がヘプタフルベン体の8位の官能基を攻撃して1, 1 , 3-トリ置換アズラノン体となる。さらに第4段階では1位の置換基を塩基が攻撃し,そのうちの脱離しやすい基が2位の置換基の分極にうながされて脱離して最終生成物のアズレン体が生成することになると考えられる。この反応は複雑でまだ完全な解明にはいたっていないが,ここではそれぞれの場合について実験事実を主体として考察する。この際各段階における反応速度も当然問題になってくると思われるが,その方面の研究は今後の問題としたい。このアズレン合成法は脱水素の段階を経ずに初めから2位にアミノや水酸基のような反応性に富んだ官能基をもつアズレン体が得られる点でいままでの合成法にはまったく見られない特徴がある。さらにこれらの官能基はあとで種々変形することができ,種々のアズレン誘導体の合成に利用されている。本論文は従来他の学会誌に発表した主題の研究1)~11)を総合的にまとめたものである。
著者
栗田 雄喜生 野副 鐵男 久保 昌二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.543-545, 1950-10-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
6
被引用文献数
3

(1)ヒノキチオール及びモノブロム,ヂブロム誘導體の双極子能率をベンゼン溶液中において33°Cで測定した。 値は夫々4.04D, 4.32D, 4.27Dである。 (2)それらの能率の値を種々の共鳴構造を考えることによつて説明し,それ等の化合物においてシクロヘプタトリエン環は平面七角形をなしていると推定した。 (3)ヂブロム化合物における置換基の位置を決定した。 本研究を行うに當り,試料の製造に協力された向井利夫氏,實驗装置に關し便宜を與えられた小寺明博士に對して感謝する。猶本研究は文部省科學研究費によつて行つたものである。 *他の可能性はヂブロム化合物に對して實驗値と一致しない合成能率を與えることも示し得る。
著者
中井 康雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1629-1633, 1961-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
23
被引用文献数
7

xR2O(100-x):B2O3[R=Na,K,Li]モル組成のアルカリ-ホウ酸ガラスを,γ 線照射すると,欠陥中心が生じる。この欠陥中心の性質を調べるため,常磁性共鳴吸収を測定した。測定器 Varzan 型 V 4550 分光器で, 9000Mc/sec の周波数帯を用いて,常温で測定した。試料は粉体で,真空中にアンプルしたものであり,全照射量は約 5×106r である。溶融ホウ酸およびアルカリ-ホウ酸ガラスとも, g=2.0 で A=13.6gauss の等間隔の 4 本の微細構造をもつ ESR を得た。この吸収帯はアル力りの種類にはよらない。したがってこの微細構造はスピン 1=3/2をもつ 11B の原子核と不対電子の相互作用によって生じるものと思われ,その欠陥中心のモデルを推定した。アルカリ-ホウ酸ガラスでは,これ以外に,アルカリに関係すると思われる吸収が存在する。ガラス中の水は ESR の形状に関係があり,ガラス内部の水および吸着水は,γ 線照射によって生ずる磁気的中心の生成を阻止する作用をもつ。また吸着水はホウ酸ガラスの表面を侵し,内部に浸透して,ガラス表面層に密に存在する磁気的中心と,OH-あるいはH2Oの形で反応し,退色を促進する。
著者
村井 不二男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1324-1326, 1960-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
4

著者らによって単離されたマタタビの有効成分の一つであるマタタビラクトン,C10H16O2(I)の化学構造についてのべる。Iの過マンガン酸カリウム酸化によって2種のネペタリン酸がえられた。またIの加水分解により,一部は相当するオキシ酸(VI)を結晶としてあたえ,このものの閉環によってイソイリドミルメシン(IVb)がえられた。これらの結果からマタタビラクトンはイリドミルメシン(IVa)とイソイリドミルメシン(IVb)の混合物であると推定される。
著者
口 武雄 村井 不二男 磯江 幸彦 玄 亟培 林 雄二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.507-528, 1969-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
84
被引用文献数
27

表題のネコ科動物の嗜好植物から著者らは2種の塩基(アクチニジンとボシュニアキン)を,C9-ラクトンとしてボシュニアラクトン,オニクラクトンおよびミツガシワラクトンを,C10-ラクトンとしてイリドミルメシン,イソイリドミルメシン,ジヒドロネペタラクトン,イソジヒドロネペタラクトン,ネオネペタラクトン,`イリドミルメシン,cis,cis-イソイリドミルメシンciscis-ジヒドロネペタラクトンとcis,cis-イソジヒドロネペタラクトンを,cis,cis-ラクトンとしてアクチニジオリドとジヒドロアクチニジオリドを単離した。これらの塩基,ラクトン類はいずれもネコ科動物に対して顕著な興奮作用を持っている。一方,クサカゲ淳ウの一種,ヨッボシクサカゲロウの雄もまたマタタビに強く誘引されることが知られており,著者らは虫果および葉から7種のイリドイドーアルコール類を単離した。これらのアルコ一ルは,ネオマタタピオールではl0-6μgで,マタタピオールおよびデヒドロイリドジオールは10-3μgで,またイリドジオール,5-ヒドロキシマタタピエーテル,7-ヒドロキシジヒドロマタタピエーテル,アロマタタピオールは1μgでそれぞれクサカゲロウを誘引する。著者らは上に述べた活性物質のすべての構造を化学的およびスペクトル的方法により決定し,かつ,それらを立体特異的に,あるいは生合成的経路で合成に成功した。またC11-ラクトン合成の途上ジエンからアレンーアルコールが光増感酸化でえられることを見いだした。C9-モノテルペンの立体化学は,ボシュニアリン酸のすべての異性体を確実に合成することにより確立された。
著者
山本 俊夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.384-388, 1960-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11

同一地方で各季節を通じ採取した海藻 41種, 72 試料について鉄含量を測定した。乾燥体 1g 中に最高 3.410mg, 最低 0.070mg の値を示し, 種類によりかなりの差異がみとめられた。マンガン含有量の多い種類の海藻は, 一般に鉄含有量も多く, 全体の約半数の種類が 3~7 の Fe/Mn 含有原子比を示した。
著者
藤田 安二 上田 照夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1072-1073, 1965-10-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
4
被引用文献数
1

形態シソ(perilla nankinensis Decne)とまったく同一であるにかかわらずシソ臭を有せず,エゴマ(P. frutescens Brit.)と同じ臭気を有するものがしばしば存在する。 このものの精油を検索すると,收油率生草の0.03~0.05%,油分はマツタケアルコール(1-オクテン-3-オ-ル) 6.8~7.1%,リナロール7.9~8.4%,エルショルチアケトン8.8~10.4%,ツワブキ酸1.5~3.0%,ナギナタケトン48.6~50.8%,その他の成分23.0~23.7%からなることがわかった。 このものはおそらくシソとエゴマとの雑種であろうと考える。
著者
梅崎 芳美
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.856-859, 1961-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1

着色水中のケイ酸の比色定量について検討した。試料溶液を硫酸酸性で,常温において過マンガン酸カリウム溶液と処理して有機物を分解し,亜硝酸ナトリウムによって脱色を行なう。この操作によって天然着色水中のフミン酸,また人工着色水たとえばパルプ廃液などもほとんど完全に分解される。以下モリブデン黄法によってケイ酸の比色定量を行なった。常温,過マンガン酸カリウム分解においてはケイ酸の溶存状態がまったく変化しないことを確認した。
著者
阿部 昭吉
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1054-1057, 1961
被引用文献数
4

ミリアシンおよびミリアシンオキシドは,二酸化セレンによる酸化で mp253℃,[α]<SUB>D</SUB>-87.6℃ の化合物 C<SUB>31</SUB>H<SUB>46</SUB>O<SUB>3</SUB> となる。この化合物は, β-アミリンまたはソイヤサポゲノールDを二酸化セレンにより酸化して得られた物質の紫外線吸収スペクトルに似た吸収を示すことから,=の部分構造を有すると考えられる。またミリアシンを塩化水素で処理し, mp189℃[α]<SUB>D</SUB>+41.2°の化合物 C<SUB>31</SUB>H<SUB>52</SUB>O を得た。さらにミリアシンは,ρ-トルエンスルホン酸または三フッ化ホウ素により, mp125℃[α]D+41.2°の化合物C<SUB>30</SUB>H<SUB>48</SUB> となった。この化合物は過安息香酸により mp203℃,[α]<SUB>D</SUB>+73.5°の化合物C<SUB>30</SUB>H<SUB>48</SUB>O<SUB>2</SUB> となり,酸化白金を触媒として水素添加すれば, mp96°~97℃ の化合物 C<SUB>30</SUB>H<SUB>50</SUB> となった。またミリアシンオキシドは,塩化水素により mp210°~211℃,[α]<SUB>D</SUB>-63.0°の化合物 C<SUB>31</SUB>H<SUB>50</SUB>O となった。<BR>以上の反応およびその反応による旋光度の変化を考察すると,ミリアシンはβ-アミリン-オレアナン系またはソイヤサポゲノールDのような構造を有し,その二重結合は Δ<SUP>18:19</SUP> と推定された。
著者
中林 一朗 増田 精造 安村 二郎
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.344-347, 1969
被引用文献数
2

アルミニウムおよびニッケルの交互の蒸着によって調製したサンドイッチ型ラネー合金膜,およびこれを水酸化ナトリウム水溶液で展開したラネーニッケル膜について表面組織を金属反射顕微鏡で観察した。またユッケルーアルミニウム合金の組成,ラネーニッケル膜の表面構造をX線回折で解析した。これらの観察および解析結果からラネーニッケル膜の水素化触媒活性と表面構造との関陣性について研究した。ニッケルーアルミニウムの合金は約450℃より高温の熱処理で蒸着膜中に生成しはじめ,金属間化合物としてNiAlaとNi2A13の2種が見いだされるがNiAlは存在しない。種々の熱処理温度において,生成した合金膜を水酸化ナトリウム水溶液で展開しaアセトンの水素付加反応によって触媒活性を調べると,合金生成温度約450。Cの試料から触媒活性を呈しはじめ,約550℃のものが最高活性を示した。これらのラネーニッケル触媒表面の組織は網目状構造を示し,金属間化合物中のアルミニウムは展開時に完全には溶出せず,一部残存する。またこれらのラネーニッケル膜にふたたび熱処理を加えた場合,150~200℃において,触媒活性は急激に低下する。X線回折図によれば,表面構造は同様の条件で熱処理を行なった純ニッケル蒸着膜より乱れが大きく,とくに(200)面の乱れがいちじるしい。また高温で処理したものほどニッケル格子のひずみ,すなわち格子不整がよりよく消失する。以上の事実から,ラネーニッケル触媒の活性と格子不整との間には密接な対応関係が存在すると推論される。
著者
小西 昭夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.78, no.10, pp.1517-1521, 1957-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
3

加熱によるPVCの変色を可視部反射率で測定し,色の3色刺戟値のうち明度Yをパラメー一ター一"として変色速度を求めた。窒素存在下ではY変化の速度定数はk=1/t・(100-Y)/(100・Y)であらわされ,120~180GCの温度範囲でK=1.78・1010exp(-26600/RT)Min-1である。変色におよぼす空気の影響,安定剤の作用,変色PVCとラジカル試剤との反応性等から変色PVCの着色構造としてマクロラジカル構造の寄与を考えた。