著者
大庭 喜八郎 岡田 幸郎 塩田 勇 武藤 惇 岡本 敬三
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.438-443, 1965

約180本/0.1haからなる17年生のスギ人工林において,大,中および小直経級別に,それぞれ, 5本ずつの母樹をえらび, 1963年秋に採種した。この種子を施肥量のちがう播種床に直播し,幼苗の生長を調査した。肥料は化成肥料(〓スーパー1号)を使用し, 1m<sup>2</sup>あたり,それぞれ, 600, 300, 150 および0gr の4段階とした。播種床には120×120×18(cm)<sup>3</sup>の木製木枠を用い,底にビニールシートをしいた。この木粋に関東ロームのやせた土をつめた。播種は線密度とし,長さ50cm, 列間, 6cm, 幅1cm, 深さ約 0.5cm の播種溝に,それぞれ,200粒,100粒および50粒の3段階とし, 4回の繰返区をもうけた。播種約6カ月後,幼苗を地際から切りとり,笛高と地上部乾物重とを測定した。各処理別に発芽率のちがい,または,その他の原因により生存数にちがいがあったので,各繰返し区ごとに密度補正をした。すなわち,母樹別,施肥量別に,乾物重は各繰返し区の生存本数とその平均乾物重の対数とで,また,苗高は各繰返し区の生存本数とその平均苗高とにより回帰直線を計算し,それぞれの回帰直線を用いて50cmの播種溝あたり100, 50および25本の生存数について,平均乾物重,平均苗高の補正値を算出した。施肥量,生存密度の組合せで12の処理区があり,その各処理区に15母樹の実生集団がはいっている。平均乾物重および平均病高について,施肥量,生存密度の組合せの 12処理区のそれぞれの総平均値に対する各処理区内の母樹別平均値を対応させた回帰直線を15母樹について計算した。この回帰係数は母樹別幼苗集団の肥料反応をしめすものと考えられ,回帰係数が大きいほど施肥効率が良いと推定される。直経級別により施肥効率をしめす回帰係数には明らかな関係はないようである。しかし,母樹別には,乾物重,苗高の回帰係数には95%の信頼度でその信頼限界が重複しないものがあった。直播幼苗での生長調査であるため,種子重との関係を,母樹別1,000粒重と母樹別の平均乾物重,平均苗高それぞれの肥料反応をしめす回帰係数との相関を計算し,その回帰係数の有意性を検定したところ,いずれの場合も有意でなかった。

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こんな論文どうですか? 林木の変異に関する研究 (II):母樹別のスギ幼苗の肥料反応について(大庭 喜八郎ほか),1965 https://t.co/R1vtzamNKm
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