著者
井上 恵子 上岡 康雄 仲泊 聡
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌
巻号頁・発行日
vol.28, pp.245-251, 2000

低視力者に対する視覚補助具の中で強度凸レンズ眼鏡の果たす役割について検討した。対象は矯正視力0.4以下の低視力者18名で、男性9例、女性9例であり、年齢は16歳から84歳、平均56.4歳である。処方した視覚補助具の内訳は、ルーペが最も多く18例中11例・61%で処方され、ついで強度凸レンズ眼鏡7例・39%で、その他拡大読書器3例、単眼鏡および弱視眼鏡が3例、遮光眼鏡が2例であった。2種類以上の補助具を併用した症例は9例であった。強度凸レンズ眼鏡の加入度数は+6.0Dから+12.0Dまでで平均+8.0Dであった。両眼視が可能であった症例は7例中4例で、単眼使用の3例は他眼の視力が指数弁の症例、恒常性外斜視の症例、および不同視の強い症例であった。強度凸レンズ眼鏡は読書距離が短くなる欠点はあるが、通常の眼鏡と同様の外観を有する点で心理的に患者に受け入れられやすく、ルーペと異なり両手が自由になるため書字を希望する人に適しており、加入度が+8.0D以下であれば両眼視が可能であることも多く、また場合によっては2重焦点眼鏡として遠近両用にすることも可能である。さらに特別な視覚補助具のトライアルセットを備えていない一般眼科外来で処方・訓練を行なうことができるなど多くの利点を持っていることから、中等度以下の低視力者に対して積極的に利用されるべきだと思われる。

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