- 著者
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藤巻 裕蔵
- 出版者
- 日本鳥学会
- 雑誌
- 日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.1, pp.15-23, 1986
- 被引用文献数
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3
(1)北海道大学苫小牧地方演習林(北海道苫小牧市)の落葉広葉樹林で1982•1983両年に森林構造ど繁殖期の鳥類群集の関係を調べた.<br>(2)調査地では1982-83年の冬に一部の伐採が行われ,胸高直径5cm以上の樹木の密度,基底面積,うっ閉度は1,665/ha,27.65m<sup>2</sup>/ha,85%からそれぞれ1,060/ha,18.75m<sup>2</sup>/ha,64%に減少した.<br>(3)調査期間中に44種の鳥類が観察されたが,そのうち35種がなわばりを持ち,それ以外の種は一時的に飛来したものであった.<br>(4)つがい数の多い種はキビタキ,ヤブサメ,センダイムシクイ,ハシブトガラ,シジュウカラ,ゴジュウカラ,ニュウナイスズメであった.<br>(5)1982年と1983年とを比較すると,ホオジロ,アオジ,シメのように開けた環境を好む種のつがい数が増加したが,他の種のつがい数はほとんど変化しなかった.また,平均多様度指数も1982年に4.27,1983年に4.44であった.<br>(6)北海道の落葉広葉樹林や針広混交林の鳥類群集との比較を行い,今回調査した鳥類群集の特徴を明らかにした.