著者
近野 英吉
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.337-351, 1940

竹材の形状及び材積を竹林の施業と竹材の利用とに關聯して論究せんとする。<br> <b>1.</b> 竹材の太さと長さの關係節間の大小配列等が竹の種類により異り,マダケはマダケの形状を具ふる。而して母體内榮養素の多少と温度濕度の適否とが筍の發育を左右し,竹材の形状に多少の變異を生ずる。從つて竹林の完全なる構成を圖つて筍の發育を良好ならしむることは或る程度迄可能である。<br> <b>2.</b> マダケの全長は筍が適當に發育すれば目通周圍の約60倍(7寸竹上)65倍(6寸竹)70倍(5寸竹)あつて,枝下はその中央より2~3節上位にある。全長短く枝下低い竹林に於ては立竹の疎密配置その他手入に注意を要する。<br> <b>3.</b> 竹の節數は大竹に多いが竹材の中部に於ける節間の長さに關係少く,節數の多い竹は主として梢部に於て節間が短縮する。<br> <b>4.</b> 竹材は部分的に大小形状を異にして用途に適不適がある。節間の太さ厚さ配列は順次増減し,太さは最太部位,厚さは初め急に減じ長さの最大部位附近に於てその差甚だ少く,長さの配列は往々不規則で,長さの最大部位附近にその變化が多い。5~6寸以上のマダケ竹材各部の位置及び大さは大體次の如し。<br> <b>イ.</b> 目通高は普通地上第7節間で,その節間の長さ9~10寸・肉の厚さ2分内外。<br> <b>ロ.</b> 中央高は第20節間の上下2~3節間の部位で,目通高に比し1.5~2.5割細く,2.5~4.0割長くして肉の厚さは1.2~1.3分。<br> <b>ハ.</b> 第1枝節直下の節間は疎生と密生とによりその位置異り,中竹は中央高と略一致し大竹は中央高より2~3節上位する。從つてその大さは中央高と略同じか僅に小さい。<br> <b>ニ.</b> 竹材の最太部位は根元を別として普通第10節間附近が上部で以下數節間同大の事がある。5~6寸の中竹はI/4高にも上下し大竹は目通高とI/4高との間にあつてその太さは目通高と同じかそれより1~3分周り太い。<br> <b>ホ.</b> 節間の最長部位はI/4高とI/2高との間I/2高に近く,その長さは目通高節間長の約中竹2倍餘大竹2倍近く大。<br> <b>5.</b> 竹材の材積は大小竹共にマダケ1束の幹材容積は12立方尺締の3/10空洞を除いた實積はそのI/3即ち1/10尺締に近接し,適度に密生して發育の良い竹は容積も實積も多い。普通の施業竹林は年々1町歩實績約50石の竹材を生産することになる。

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