著者
植竹 正彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.1229-1239, 1998

われわれは,肛門機能検査をa)痔核根治術施行群: 40例(Whitehead法31例, Milligan-Morgan法9例), b) 保存的療法施行群: 43例, c)対照群: 40例に, Whitehead法術後愁訴の検討を69例に実施した.その結果, (1)肛門管最大静止圧(以下MRP)は特に重度の痔核で高値を示した.一方,高齢者では重度の痔核で他群に対して有意に低値を示した. (2)最大随意収縮圧は各群間に有意の差を認めなかった. (3) Whitehead法術後にMRPは当初低下を示したが,その後対照群の値に帰した.肛門管長の短縮は認められなかった. (4) Whitehead法術後の愁訴,術後障害は何れも重度のものは認められなかった.以上より, (1)内肛門括約筋の過緊張(MRPの高値)が内痔核の成因になる事が示唆され,また内肛門括約筋の加齢による脆弱化も一因となる事も考えられた. (2) Whitehead法は術式を十分に理解すれば合併症も少なく,痔静脈を全切除するため重度痔核に対して有用な術式と考えられた.

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