著者
牧 陽之助
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.227-231, 1995
被引用文献数
1

1991年の7月,松尾五色沼の湖色が,「あお」から「あか」に変わった。この変化は,春には「あお」く,夏に「しろ」くなって,秋から冬には「あか」くなるという,通常の規則的な湖色変化とは異なるものであった。この現象を説明するために,1990年から1994年の5年間の湖色変化と,水温・溶存酸素濃度・降水量・風向・風速との関連を検討した。その結果,1991年の6月と7月には日雨量が50mmを超える強い風を伴った降雨が繰り返し起きた事がわかった。<BR>この時期には,停滞していた表層水の溶存酸素は1mgO2・l以下であったが,2mg O<SUB>2</SUB>・1<SUP>-1</SUP>以上の富酸素水の「くさび」が数回観測された。・以上の知見から,1991年の夏には,強い風を伴った多量の降雨が頻発し,一時的に表層水の溶存酸素量が増加し,その結果,硫化水素の酸化反応に加えて,鉄(II)イオンの酸化がすすみ,湖色が「あか」くなったと推察した。

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