著者
今西 錦司
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
no.3, pp.11-31, 1953
被引用文献数
3

i) 冬季における御崎馬の社会では, 1 頭または 2 頭からなる小世帶を, 形成しているものが多い。<BR>ii) これらの小世帶の中には, お互いにその行動圏の overlap しているものがあつて, その間には neighborhood 関係の認められるものもある。<BR>iii) 大世帶で生活しているものは, グループとして独立している;すなわち他の世帶と, neighborhood 関係で結ばれていない。交尾期になつても, 交尾集団の成立のために, グループを解散するようなごとはない。<BR>iv) 大世帶グループには, nelghborhood 関係というよりも, 知己関係といつた方がよいような馬が, 客員としてはいつてきている。<BR>v) 大世帶グループでは, その中にいるリーダー格の馬が, アトラクションの中心となつている。その馬を中心に, 血縁的な結びつきの存在することも考えられるが, 必らずしもそれだけでにないらしい。客員は, このリーダーにひかれて, グループに入つてきているように見える。<BR>vi) 〓の行動圏は一般にひろい。その中には大世帶の行動圏も, 小世帶の行動圏もふくまれる。そこに〓を介した community 関係ともいうべき, 一つの社会関係が認められる。<BR>vii) しかし, 大世帶と小世帶とで, 〓に対する関係がちがう。〓は小世帶をリードできても, 大世帶をリードすることはできない。ゆえに大世帶に対しては, 〓も客員となつてそのリードにまかすか, あういはその中かち結合の弱いものを, とりこにするの他はない。<BR>viii) 以上から, この馬の社会では, 〓の地位と, 大世帶グループのリーダーとなつている〓の地位とが, social organization の key point をなすものである, といえよう。<BR>ix) われわれはこれで, 春の交尾期と冬の疎開期との, 概況を知つたから, つぎには, イワクラと小松が辻の草地に, ほどんどすべての馬が出そろうという, 夏の集中期をえらんで調査してみたいのである

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? 冬營地における御崎馬:御崎馬の社会調査・報告第2(今西 錦司),1953 https://t.co/K2HYfq0ljq i) 冬季における御崎馬の社会では, 1 頭または 2 頭からなる小世帶を, 形成しているものが多い。…

収集済み URL リスト