著者
松下 秀鶴 森 忠司 後藤 純雄
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気汚染学会誌
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.220-227, 1982

タバコ副流煙中のN-ニトロソアミンの新しい分析方法を開発した。本法は, 次の各操作すなわち, 液体-固体捕集系による副流煙中N-ニトロソアミンの捕集, ジクロロメタンによるN-ニトロソアミン抽出, 抽出溶液のK-D濃縮器および窒素気流吹きつけによる濃縮, そして熱エネルギー検出器付ガスクロマトグラフィー (GC-TEA) によるN-ニトロソアミンの分析から成り立っている。<BR>副流煙中N-ニトロソアミンの捕集には, 1N KOH, 0.5Mスルファミン酸水溶液, 脱水剤 (Na<SUB>2</SUB>CO<SUB>3</SUB>) そしてサーモソルブ/Nチューブを直列につないだ捕集系を用いた。この系では, 副流煙中に8ppmの高濃度二酸化窒素を含む場合でも, アーティファクトニトロソアミン生成がなく, N-ニトロソジメチルアミン (NDMA) やN-ニトロソピロリジン (NPYR) に対して99%又はそれ以上の高い捕集効率が得られることが判った。高い分析再現性を得るために, 溶媒抽出の際, 既知量のN-ニトロソジーn-ブチルアミンを内部標準溶液として試料溶液に加えた。また, 本法で用いたGC-TEAは, クリーンアップ処理の簡素化にたいへん有効であり, 高感度であった。<BR>本法を若干の国産銘柄タバコ副流煙中のNDMAとNPYRの分析に適用した。喫煙は国際喫煙モードで, 定容量型自動喫煙器を用いて行った。分析結果の再現性は高く, その変動係数はNDMAで4.9%, NPYRで2.9%であった。また副流煙中のこれらN-ニトロソアミン含量は銘柄によって異なり, その値はタバコ1本当たりNDMAで190~370ng, NPYRで90~210ngであることを認めた。

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