著者
稲積 真哉 大津 宏康
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.13-22, 2008

海面処分場における側面遮水工には地震、波浪、高潮および津波等の海上特有の諸外力から埋立地を護る護岸機能とともに、廃棄物からの浸出水が海域へ流出するリスクを軽減、回避もしくは未然防止する機能が要求される。本研究は側面遮水工の一つである鋼管矢板遮水壁に着目し、継手部から浸出水の局所的な漏水を表現し得る評価モデルを検討し、継手部の3次元的な配置ならびに透水係数分布を考慮した鋼管矢板遮水壁が設けられた海面処分場の汚染リスクおよび汚染リスク低減効果を、3次元浸透・移流分散解析によって評価する。なお、本研究では海面処分場における有害物質を含んだ廃棄物浸出水の海域漏出の可能性を汚染リスク、また浸出水の海域漏出を軽減、回避あるいは未然防止する側面遮水工の効果を汚染リスクの低減効果として定義している。<BR>鋼管本管に比べて高透水性の継手部を有する鋼管矢板遮水壁に対して実施した汚染リスクおよび汚染リスク低減効果の評価では、海面処分場の外域において継手部から有害物質の局所漏出によって、換算透水係数に基づく現行評価モデルと比べて早期に環境基準値を上回る有害物質の汚染リスクを確認した。従って、鋼管矢板遮水壁に関する汚染リスク低減の評価では、継手部の3次元的な配置ならびに透水係数分布の考慮が望ましいことを提案している。

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