著者
遠藤 清敬
出版者
国際組織細胞学会
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.263-278, 1957

胎生後期の女子外陰部の中で, 陰核包皮には陰核背神経からの多数の分枝を見るが, その中の知覚線維の終末には未だ陰部神経小体も複雑性分岐性終末も見られず, 終末は専ら非分岐性及び単純性分岐性終末として上皮下に発見されるに過ぎず, 量的にも成人に於ける比ではない. 包皮外板では表皮内に終る上皮内線維は証明されないが, 内板と陰核亀頭に共通な上皮内には特有な上皮内線維が発見される. 尚お興味深い事に小型の Pacini 氏小体が包皮の内外両板間に屡々発見される.<br>陰核小帯にも陰核背神経から少量の知覚線維の進入を見る. その多くは分岐性終末に移行して上皮下に比較的平等に分布する. 尚おここでは上皮内線維も Pacini 氏小体も証明されない.<br>小陰唇に対する知覚線維も専ら陰核背神経に由来する. 背神経は其他膣前庭及び膣口に対しても知覚線維を出す. 但し膣には出さない. 尚お膣口及び膣前庭には非分岐性及び単純性分岐性知覚終末が上皮下に所々に形成される.<br>小陰唇の知覚神経分布は成人に於けると多少異なり, その内板に於けるよりも外板に於て稍々強力である. そこで内板に於ける知覚終末の発達は生後強化するものと考えられる. 知覚終末は専ら非分岐性及び単純性分岐性終末で表わされ, 多くは乳頭外の結合織内に発見される. 陰部神経小体はここでも未だ証明されない.<br>大陰唇の知覚神経分布は粘膜性の小陰唇の場合と全く異なり, 一般有毛性外皮に於ける様に知覚線維の多くは特殊組織から成る毛嚢頸に終る. そして残りの少数のものは表皮下に迄来て終る. 然し興味深い事に之等知覚終末は一般有毛性外皮に於けるよりは遙かに多量を占める. 又稀ならず小型の Pacini 氏小体も小陰唇寄りの真皮深層内に発見される. 之も恐らく陰核背神経に由来すると思考される.<br>大陰唇及び陰核包皮の毛嚢頸に進む知覚線維はその特殊組織内に叢状終末又は樹状終末に終り, その発達には可なり見る可きものがある. 又乳頭層に形成される知覚終末も数に於てのみならず, 終末様式に於ても一般有毛性外皮に於けるよりは優勢を示す.

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#NowBrowsing CiNii 論文 -  人胎生後期に於ける女性外性器の神経特に知覚神経分布に就て https://t.co/3Rp4utPAKB
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