著者
黒河内 雅次
出版者
日本森林学会
雑誌
林學會雑誌
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.970-977, 1933

(一)九州本土に於ける樟の天然分布を霧島由雲仙岳に就て調査するに其の限界は年平均氣温14度内外一月の平均氣温3度内外特に最低氣温平均は(一)1度内外、八月平均氣温は25度内外である。<br> (二)樟の生長は肝屬半島内之浦營林署管内最も良好であつて九州海岸に沿ふて八月と一月の氣温差を求むるに内之浦最も少く生長不良なる所程大であるのを見れば一年を通じ氣温變化少い所程良好の樣である。<br> (三)降水量は天然分布を支配するものとは考へられないが土地的要素と相待つて生長に重要なる影響を與ふるものと云へよう。<br> (四)樟の成績は土壤の水分も多く空氣の流通も良好なる程好成績の樣である。<br> (五)基岩の花崗岩たると砂岩たるとを問はず成績良好なる所は砂壤土であつて根の進入してゐる部分は粘土分多く深層に至るに從ひ其の量減ずる所は理學的性質も良好で樟の生長も良いが之と反對の關係にある土壤即ち深層に至るに從ひ粘土分多い所又は表層も深層も土性變り無く堅密なる土壤は成績不良の樣である。<br> (六)成績良好なる土壤は腐植質の含量も多く土壤酸度も低い樣である。<br>即ち樟の生育は一年通じ氣温の變化少い地方が良好であつて降水量の多い地方では砂壤土の如き理學的性質良好なる且つ酸度も低い土壤が良好の樣である。

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