著者
杉岡 正敏 青村 和夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1973, no.3, pp.471-476, 1973
被引用文献数
2

いろいろの固体触媒によるエタンチオール(ET)の接触分解をパルス反応器を用いて行なった。この結果,エタンチオールの分解に活性を有している触媒はB酸点を有しているNHY-ゼオライト,固体リン酸(SPA),シリカ-アルミナ(SA)ばかりではなく, Al,08およびアルカリ金属ゼナライト,MeY(Me=Li, Na, K, Rb, Cs)のようにB酸点を有していない触媒もまた分解活性を示すことがわかった。しかしながら,CaO, MgOのような固体塩基は不活性であった。エタソチオールの分解生成物はNH,Y, SPA, SAおよびMeYではエチレンと硫化水素のみであったが, A130,ではエチレンと硫化水素とともにかなりの量のジエチルスルフィドが生成した。<BR>NH,Y, SPA, SAおよびA1203によるETの分解はピリジンで被毒されたが, MeYでは被毒されなかった。さらに,NH,YとSPAのエタンチオール分解活性は触媒の焼成温度の上昇とともに低下し,その活性低下はクメン分解の活性低下とよく対応していた。<BR>以上の結果から,エタンチオールの分解に対するNH,Y, SPA:およびSAの活性点はB酸点であるが,A1203とMeYではB酸点とは異なると考えられたので,その活性点に関して考察を加えた。

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