- 著者
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奥山 哲
竹本 修三
- 出版者
- 日本測地学会
- 雑誌
- 測地学会誌 (ISSN:00380830)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.1, pp.73-82, 2003
重力データの解釈にはよく知られているようにインバージョンにおける解の非唯一性の問題がっきまとうため,この種の処理にはアプリオリな付加的情報が必要となる.先験的な地質学,幾何学の知識及びさらにいくつかの付加的な情報,例えば構造断面や等高線の様相などは,モデリングをより一層扱いやすいものにすることができる.われわれは,断層の走向,長さ,高さ及び深さ方向の拡がりのサブセットからなるパラメータを用いて日本の中部山岳地帯の糸魚川一静岡構造線(ISTL)に沿う断層を横切る重力インバージョン解析を行った.その結果,重力データに基づく2次元のモデリングは,断層を横切るもっともらしい下部構造を描くために行われた反射法及び屈折法探査などの以前の研究と整合する.すなわち,験震学的には構造線の南西あるいは西に厚い堆積盆地が存在することが示唆されているが,同様の結果がわれわれの解析からも確かめられた.つまり,南西あるいは西方の3~3.5kmの深さに堆積層があり,その構造は西に向かうほど狭くなっている.