著者
楠本 成寿 福田 洋一 竹村 恵二 竹本 修三
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1, pp.32-43, 2001
参考文献数
35
被引用文献数
1 11

In order to solve a mechanical inconsistency that the Osaka Bay basin exists between the Median Tectonic Line (MTL) and Arima-Takatsuki Tectonic Line (ATTL) (right-lateral left-stepping faults), we attempted to investigate and evaluate the basin forming mechanism at the termination of right-lateral left-stepping faults by means of the dislocation modeling.<BR>The results of the numerical simulations show that the sedimentary basin can be formed at the termination of the right-lateral left-stepping faults develop, if the secondary fault caused by the rightlateral motion is a reverse fault and its displacement is larger than 20% of the lateral motion. We applied this model to the fault distribution in the Kinki district, and found that tectonic structures around the Osaka Bay can be explained by combination of 1) the right-lateral motion of the MTL and ATTL and 2) the reverse motion of their secondary faults, <I>i.e</I>., Nara-Toh'en Fault, Ikoma Fault and Rokko-Awaji Fault Systems.
著者
. 奥山 哲 竹本 修三
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.73-82, 2003

重力データの解釈にはよく知られているようにインバージョンにおける解の非唯一性の問題がっきまとうため,この種の処理にはアプリオリな付加的情報が必要となる.先験的な地質学,幾何学の知識及びさらにいくつかの付加的な情報,例えば構造断面や等高線の様相などは,モデリングをより一層扱いやすいものにすることができる.われわれは,断層の走向,長さ,高さ及び深さ方向の拡がりのサブセットからなるパラメータを用いて日本の中部山岳地帯の糸魚川一静岡構造線(ISTL)に沿う断層を横切る重力インバージョン解析を行った.その結果,重力データに基づく2次元のモデリングは,断層を横切るもっともらしい下部構造を描くために行われた反射法及び屈折法探査などの以前の研究と整合する.すなわち,験震学的には構造線の南西あるいは西に厚い堆積盆地が存在することが示唆されているが,同様の結果がわれわれの解析からも確かめられた.つまり,南西あるいは西方の3~3.5kmの深さに堆積層があり,その構造は西に向かうほど狭くなっている.
著者
藤原 了 橋本 学 竹本 修三
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.659-678, 2001-06-25 (Released:2011-03-01)
参考文献数
44
被引用文献数
1

三次元有限要素法を用いて琉球弧をモデル化し,粘性流体媒質中の定常流の仮定下で流れ及び応力場を計算した.背弧直下に想定される低密度媒質及び一般的なプレート運動の原動力の背弧拡大に対する効果,地殻粘性率の影響について考察した.解析の結果,スラブ引っ張り力やリッジプッシュ等のみを考慮したモデルでは背弧地域に圧縮場を形成した.一方,背弧直下での低密度媒質に働く浮力を考慮した場合,背弧における拡大を示唆する張力場が得られた.背弧直下の低密度媒質は地殻付近の深さまで到達している可能性が高く背弧拡大の主原動力と考えられる.さらにマントルの粘性率と背弧領域の地殻粘性率との差が小さい時,すなわち相対的に軟らかいプレートを仮定した時に拡大が生じた.
著者
中川 一郎 中村 佳重郎 田中 寅夫 東 敏博 藤森 邦夫 竹本 修三
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

ジオイドは、地球表面におけるさまざまな測地学的測定の基準面であるばかりでなく、その起伏が地球内部の構造と状態とを反映することから、ジオイドの精密決定は、測地学のみならず、地球物理学においても、きわめて重要で、かつ、基礎的な課題の一つである。本研究は、人工衛星アルチメトリィ・データや海上重力測定データや検潮データに加えて、陸上における重力測定やGPS精密測位および水準測量などのデータを総合し、西南日本におけるジオイドの起伏を精密に決定するとともに、得られたジオイドの起伏と地殻および上部マントルの密度異常との関係を明らかにし、その物理的な意義を解明することを目的として、つぎの研究を実施した。1.西南日本におけるジオイド面の起伏を精密に決定にするためのデータ・ベースとして、重力測定データ、水準測量データ、鉛直線偏差データならびに検潮データなどに加えて、トペックス・ポセイドン衛星のアルチメトリィ・データを収集した。2.近畿地方から九州地方にかけての東西約600kmの範囲内で選定された26地点において、可搬型GPS受信機6台を用いたGPS観測を実施し、これらの地点の楕円体比高を求めるとともに、水準測量によって標高を決定した。その結果、すでに得られている結果とあわせて、西南日本における合計57地点のジオイド比高が決定された。3.鳥取,別府,紀伊半島および西国の各地域におけるGPS観測点において、ラコスト重力計を用いた精密重力測定を実施した。4.気象庁および大学の地震観測データを用いて、西南日本の地震波速度異常の3次元的構造を決定することを試みた。5.ジオイド面ならびに3次元地震波速度構造の空間表示を行なうための面像処理プログラムの開発を行なった。