- 著者
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松田 勗
中村 悠一
- 出版者
- 社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.8, pp.1756-1759, 1969
- 被引用文献数
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酢酸中において,簡単な不飽和エステル,不飽和ニトリルと酢酸パラジウムとの反応は90~120℃で進み,メチル基をもつ共役化合物はアセトキシル化物とカップリング生成物の混合物を与えることが判った。アクリル酸エチル,ビニル酢酸エチルおよびアクリロニトリルからはアセトキシル化物のみが生成し,それぞれトランス-β-アセトキシアクリル酸エチル,トランス-γ-アセトキシクロトン酸エチル,トランス-β-アセトキシアクリロニトリルが主生成物であった。アリルシアニドからはα-アセトキシアリルシアニドとβ-アセトキシクロトニトリルの混合物がえられた。クロトン酸エチルからβ-アセトキシクロトン酸エチル,トランス-γ-アセトキシクロトン酸エチルと共に,二量体としてシス,トランス-およびシス,シス-2,4-ジメチル-1,3-ジカルボエトキシ-1,3-ブタジエンが確認された。メタクリル酸エチルからもα-(アセトキシメチル)アクリル酸エチルとともに二量体が生成し,1,4-ジメチル-1,4-ジカルボエトキシ-1,3-ブタジエンが融点77.5~80℃の結晶として単離された。