著者
片山 透 上司 裕史
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.1055-1059, 1991

Chiron社が開発したC100-3抗体検査法は, C型肝炎ウイルスの診断薬として一応定着した. 赤十字血液センターは, すでに1989年11月から, この検査を献血のスクリーニングに追加している. ウイルス遺伝子の非構造部分から作られたC100-3を第一世代の検査法と名付ければ, 内外のその後の研究進展により, すでに第二世代の検査法というべきものが検討されており, 正式承認も間近い. 東京病院で手術に際して輸血が行われた症例において, 1984年から1989年までの輸血後非A非B型肝炎発症率は12.4%であり, そのうちC100-3抗体陽性の血液の輸血後の発症は56.3%を占めた. しかし1990年には肝炎発症率は5.6%に下がり, このことは従来の輸血後肝炎発症例のうちの54.8%が発生しなくなったということで, 上述の56.3%に近似する. この数値は第二世代の検査法によりさらに下がるであろう.

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