著者
藤田 誠司 藤原 葉一郎 奥村 次郎 長村 敏生
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.227-230, 1993

脳梁欠損症は脳の先天奇形疾患としてそれほど稀有なものではないが, その出生前診断についての報告例は本邦ではいまだ散見されるにすぎない. 今回我々は妊娠29週に胎児エコーで脳室拡大の所見を得, 胎児水頭症を疑い, 生後ただちにシャント術を施行すべく, 妊娠36週時, 帝王切開術にて児の早期娩出を試みたが, 生後脳梁欠損症と判明, 治療手段なく経過した症例を経験した.<br>本症の胎児期における超音波診断のcriteriaは, 1) 第3脳室の拡大と挙上, 2) 側脳室後角の拡大, 3) 透明中隔像の欠如, 4) 側脳室の離開と平行化, である. 本症は脳室拡大所見から水頭症と類似するが, その病態は全く異なり水頭症の鑑別疾患として常に念頭におく必要がある. また本症に高率に合併する奇形の存在が患児の予後を大きく左右するため, 本症の出生前診断は他の奇形を検索, 診断するきっかけになるという点でも, 周産期管理上重要であると思われた.

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脳梁欠損症の出生前診断に関する一考察 https://t.co/PgDRH4eMs4

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