著者
椿 俊和 岩崎 郁美 小田島 優子 飯倉 洋治
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.331-334, 1993

麦飯石は無水珪酸を主成分とする火成岩類中の石英斑岩に属する岩石であるが, 古くから腫れ物・皮膚病に効果のある漢方薬として普及してきた. そこで我々は, 麦飯石の接触性皮膚炎に対する効果をみる目的で,モルモットに用いて検討を行った.<br>方法は, 生後6週のハートレイ系モルモットの雌8匹の背中の毛を刈り, そこに0.1%漆溶液0.5mlを毎日10回同じ力で塗布し接触性皮膚炎を作製し, その後背中の左半分は治療せず, 右半分に麦飯石水溶液またはワセリンを塗布した.<br>肉眼的には両群とも3日目に発赤・浮腫・糜爛が認められたが, 麦飯石水溶液塗布群の程度が一番弱かった. 組織学的には表皮の肥厚と過角化, 血管周囲性の炎症性小円形細胞の浸潤が共通した所見であったが, 麦飯石群の表皮肥厚が最も軽度で, また炎症性小円形細胞の浸潤もわずかであった.<br>以上より, 麦飯石は接触性皮膚炎に対して抗炎症効果を持ち, 皮膚炎の改善に有効であると考えられた.

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