著者
八鍬 利助
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木研究
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.281-285, 1955

1. 図1に示したような浸透計に泥炭土, 火山性砂土砂土および埴壌土を填充してこれに潅水し, 浸透量を自記せしめた。<BR>2. 風乾状態の土壤に水を潅水したところ, 保留量の最も多いのは埴壤土で, 火山性砂土これに次ぎ砂土は最も少ない (表5)<BR>3. 火山性砂土および砂土においては流出開始直後に多量の浸透がありその後急に減少するので, 浸透量累積曲線は最初の上昇は極めて急であるが, 時間の経過と共に傾斜は次第に緩かになり, 30時間後はほとんど水平となる。埴壤土においてはこの傾向は一層甚だしく, 20時間以後にはほとんど水平に近づく。泥炭土においては最初の浸透量が少いから曲線は緩かに上昇するが, 時間の経過による浸透量の減少が小さいので4時間経過後の毎時の浸透量は他土壤よりかえつて多く, しかも長い間浸透が続くので長期にわたり緩かに上昇する。(図2および表9)<BR>4. 浸透量累積曲線から毎時の浸透量を読み取り, 時間と浸透量との関係を実験式で表わし, 時間による浸透量の減少する割合を見るに, 泥炭土の浸透量減少は甚だ小さい。すなわち泥炭土においては最初の浸透量は最も少いが, 浸透量の減少が小さいので浸透は長い間続く。本実験の一部は文部省総合科学研究費の援助を得て行つたものである。同省の御厚意に対し深く感謝の意を表する。なお資料の整理には当教室員工藤勇夫氏および大泉英子孃の手を煩わしたことが多い。ここに記して深謝する次第である。

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