著者
豊永 義清 杉田 守正 堀 誠
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.1065-1086, 1988

Ceftizoxime (CZX) で治療あるいは感染予防のために使用した各種細菌感染症の治癒近い時期の日齢1~17日までの成熟児13例, 未熟児16例について, 10mg/kg, 20mg/kgをOne shot静注し, その後の血清中濃度推移及び尿中回収率を検討した。例数は少なかったが, 成熟児, 未熟児とも, 日齢ごとに0~3日, 4~7日, 8日以上に分けて比較検討した。臨床的検討を行つたのは生後3~34目までの男児9例, 女児6例であり, その内訳は敗血症4例 (化膿性髄膜炎, 尿路感染症, ブドウ球菌性肺炎との合併それぞれ1例), 上顎洞炎1例, 気管支肺炎5例, 尿路感染症5例であつた。<BR>1. 血清中濃度推移及び尿中回収率<BR>(1) 成熟児, 10mg/kg One shot静注<BR>3群のピーク値は初回採血時 (30分) では18.9~23.3μg/mlで有意差は認めず, その後緩徐に減少し, 8時間で2.10~4.99μg/mlを示していた。半減期は口齢が進むほど短縮しており, それぞれ3.89, 2.99, 2.35時間であつた。<BR>尿中回収率は8時間ないし6時間までに55.5~70,0%であつた。<BR>(2) 成熟児, 20mg/kg One shot静注<BR>3群とも初回採血時 (30分) にピークを示し, それぞれ36.9, 41.4, 38.4μg/mlであった。その後も緩徐に濃度は減少し, 8時間でも9.0, 7.3, 4.5μg/mlであつた。半減期も日齢が進むにつれ短縮傾向を示し, それぞれ3.59, 2.93, 2.49時間であつた。尿中回収率は12時間まで検討した例が2例 (8時間まで2例, 6時間まで1例) あつたが, 43.5~78.2%であつた。<BR>(3) 未熟児, 10mg/kg One shot静注<BR>3群とも初回採血時 (30分) にピークを示し, それぞれ27.9, 21.5, 23.0μg/mlであった。その後濃度は徐々に漸減し, 8時間値でも10.8, 6.2, 6.5μg/mlを示した。半減期は日齢が進むにつれ徐々に短縮し, それぞれ5.28, 4.43, 4.24時間であつた。尿中回収率は24時間まで検討した1例では98.5%, 12時間までの2例は72.1, 81.5%, その他8時間までの3例では59.0~79.4%であった。<BR>(4) 未熟児, 20mg/kg One shot静注<BR>3群のピークは初回採血時 (30分) に認められ, それぞれ49.8, 37.0, 42.2μg/ml, 8時間値では14.1, 6.6, 4.9μg/mlであつた。血中半減期はやはり日齢が進むにつれ短縮する傾向を示しており, 4.27, 3.02, 2.06時間であつた。尿中回収率は24時間まで検討した1例では75.1%, 8時間まで検討した2例は60.0, 56.9%, 6時間まで検討した5例では53.8~70.6%であった。<BR>2. 臨床成績<BR>15例 (18疾患) で検討し, CZX 21.1~175.4mg/kgの投与量を2~4回に分けて投与した。<BR>本剤が無効と判断したのは敗血症+ブドウ球菌性肺炎例のうち肺炎に対してであり, 有効率は94%である。なお, 菌が検出されたものは16疾患であり, その内訳は<I>Escherichia coli</I> 7疾患, <I>Klebsiella pneumoniae</I> 2疾患, <I>Staphylococcus aureus</I> 3疾患, <I>Staphylococcus epidermidis</I> 1疾患, Group B <I>Streptococcus</I> (GBS) 2疾患, <I>Streptococcus pneumoniae</I> 1疾患であり, 臨床無効例の起因菌である<I>S. aureus</I>が除菌できなかつた以外はすべて経過中に除菌が確認された。<BR>副作用としては, 自他覚的副作用は1例も認めず, 臨床検査値異常としてGOT, GPTの上昇が1例に認められたが, 臨床的に特に問題となる症例はなかった。

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こんな論文どうですか? 新生児, 未熟児におけるCeftizoximeの基礎的・臨床的検討(豊永 義清ほか),1988 http://t.co/ovV5RCUH7j
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