著者
酒井 俊一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.719-725, 1994

1957年から1994年に至る筆者の上顎癌治療の足跡を回想し, その発展の経過を紹介した. 現在筆者の治療方針は, 放射線治療50Gy/5Wk, 5FU持続動注2000mg, 上顎洞は開窓し, 照射中の観察に止め, 照射終了3週後に拡大デンケル手術を行う. 上顎全摘出術は再発を確認した後に行う. これは筆者らが何度かにわたるトライアルの結果到達したものであり, 急な治療方針の変更はできない心境にある.<BR>35年間にわたる癌治療を通じて, 患者とのインフォームドコンセントについての所信を述べた. 最後に, 癌治療医の資質として次の3点をあげた.(1) 過去の経験を速やかにフィードバックできること,(2) 生涯にわたつて継続できること,(3) 患者・家族の心情に交感できること.

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