著者
原田 博文 白石 君男 加藤 寿彦 曽田 豊二
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.1180-1184, 1990-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
8

陸上自衛官の定年退職時の聴力検査を行い, 同年代の騒音に暴露されていない人と比較して2kHz以上の高音域に聴力低下を認めた.騒音環境によつて分類したグループA, B, Cの間に純音聴力閾値, 耳鳴を訴える人数に有意差を認めなかつた.聴力低下の始まる周波数別に分類すると難聴者の75%は高音域に聴力低下が観察された. 大火器射撃音に暴露されたグループBは1kHz以下の低音域から聴力低下の観察されるものが多かつた.聴力低下と喫煙・高血圧・高脂血症・糖尿病の間には特に関連を認めなかつた.
著者
唐帆 健浩 安達 仁 大前 由紀雄 北川 洋子 田部 哲也 北原 哲
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1Supplement1, pp.S44-S47, 2006-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

嚥下反射の惹起性が低下していろ脳血管障害患者5例を対象に、口腔から挿入したチューブを舌根部に固定して、常温水・冷却水・冷却炭酸水を用いて、中咽頭への注水刺激での惹起注水量を検討し、さらに冷却炭酸水注水による嚥下訓練の可能性について検討した。口腔内にカテーテルを、口唇から約10cm挿入し、用手的にほぼ一定速度で舌根部に各種液体を注入した。注水する液体として、(1) 常温水 (21-23℃)、(2) 冷却水 (12-14℃)、(3) 冷却炭酸水 (12-14℃) を用いた。3回の嚥下にて惹起注水量を検討した。健常人の場合と同様に、嚥下障害症例においても惹起注水量は、常温水よりも冷却水さらに冷却炭酸水で有意に減少していた。これは、冷却炭酸水の冷刺激と、発泡性の物理的刺激が作用したためである可能性が考えられる。冷却炭酸水を用いると、1ml以下の、比較的少量の注水にて嚥下反射を惹起させ得うため、嚥下反射の惹起性が低下した患者に対する嚥下訓練への応用が可能であると思われる。
著者
久保 和彦 佐藤 方宣 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.122-127, 2013 (Released:2014-06-01)
参考文献数
12

メニエール病治療薬であるイソソルビドは、苦く特有な味であるために、服用に困難を極める弱点がある。これまで多様な方法が試みられたが、良好な服用法は確立されていない。その服用感を改善するため、健常人 33 名にイソソルビド+ある種の溶液の組み合わせ ( 1 : 1 混合) を 6 種類試飲してもらい、服用しやすさを 5 段階評価で検討した。原液の味に関しては苦味の評点が高かった。服用感については、原液の平均評点が 3.18 だったのに対し、オレンジジュースは 4.12、リンゴ酢は 3.12、炭酸水は 3.30、コカ・コーラTM は 3.76、ポカリスエットTMは 3.61、緑茶は 2.82 と、オレンジジュース、コカ・コーラTM、ポカリスエットTMは有意に服用しやすさを改善したが、緑茶は逆の傾向が見られた。患者がイソソルビドの服用しにくさを訴えた場合は、オレンジジュースかコカ・コーラTM、ポカリスエットTMで倍量希釈することで服薬コンプライアンスを上げられる。
著者
三好 彰
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6Supplement2, pp.690-695, 1999-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
2

12 0 0 0 OA 口腔梅毒

著者
中島 寅彦
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.304-307, 2013-11-01 (Released:2014-11-01)
参考文献数
3
著者
鄭 鴻祥 大崎 勝一郎 王 慶春 上野 満雄
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.764-770, 1998-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
21

丹参 (salvia miltiorrhiza) の突発性難聴 (以下、突難) に対する治療効果を検討するため、北京医科大学人民医院耳鼻咽喉科を受診し、丹参(15g/日)と低分子デキストラン500mlの点滴注射を受けた65例の突難症例を対象にした。また、対照群にはステロイド剤の注射あるいは内服をうけた日本および北京の突難症例69例である。今回、治療法別ならびに突難の予後に影響を与えると考えられている要因5項目: めまいの有無、発病より治療開始までの日数、初診時におけるオージオグラムの平均聴力レベル、聴力型と高低音差を選び、丹参群と対照群の治療効果について比較した。以下にその結果を記す。(1)丹参群とステロイド群の治療効果の分布には有意の差がみとめられなかった(X2-検定)。(2)聾型を示した突難群において、丹参群の改善率はステロイド群のそれよりも高い傾向を示した(Fisher's test、P≥0.1)。(3)丹参群のめまいを随伴する群と随伴しない群の間では、治療効果に有意の差は認められなかった(Fisher's test)。以上より、丹参の静脈内点滴は突難に対して有用な薬剤の一つであることが示唆される。
著者
桜井 恵子
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.13-14, 1961-01-31 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

The author reports a case of vicarious epistaxis, which occurred in a female aged 29 at the end of menstruation of far smaller quantity than usual. Anterior rhinoscopy revealed that the inferior and middle turbinate were intensively reddened, swollen and eroded particularly at their anterior portions. The bleeding was easily controlled by cauterization with a chromic acid bead.
著者
村上 健 平島 ユイ子 城間 将江 中川 尚志
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.45-54, 2013 (Released:2014-04-01)
参考文献数
7

福岡市内の聴覚障害児の就学時の進路は二通りある。一つは普通小学校の通常学級に在籍し、きこえとことばの教室に通う通級指導と、もう一つは聾学校(現在の聴覚特別支援学校)への進学である。教育環境の異なる聴覚障害児の国語力を数研式標準学力検査 CRT-II(国語版)を用いて評価し、全国平均を含め、比較、検討した。今回、対象とした児童は 23 名である。またそれぞれにおいて、国語の授業で使用しているコミュニケーションモードおよび時間外に行われている補習についてアンケート調査を行った。その結果、通級児童の CRT-II の平均得点率が70%以上と高得点を示し、聾学校在籍児の平均得点率も60%以上と標準以上の成績であった。しかし、聾学校、通級指導とも高学年群で「書く能力」が全国平均得点率の伸びよりも低い結果であった。聴覚障害児の問題を裏付けている「書く能力」の向上は、就学先にかかわらず、今後の課題と考えられた。
著者
長谷川 泰久 松浦 秀博 立野 紘雄
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5Supplement4, pp.867-873, 1990-10-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
9

甲状腺乳頭癌と濾胞癌について, 索状, 充実性, ないしは硬性の低分化構造の有無およびその量より, 分化癌, 低分化構造微少混在癌, 低分化癌に再分類し, その臨床的意義について検討を加えた.乳頭癌において性別, 年齢別, 病期別に生存率を比較すると, 45才以上, 病期III・IVで分化癌に比して微少混在癌の生存率が低値であつたが, 両者には有意な差異は認められなかつた.一方, 低分化癌は乳頭癌と濾胞癌を併せても2例と少数であるが, 2例とも再発から死亡に至つており, これらの点より,「いわゆる低分化癌」の分類には低分化構造の有無のみならず, 量的な問題を含めてさらに検討する必要があると思われた.
著者
山野 貴史 杉野 赳浩 尾畑 十善 廣瀬 美香 坂田 俊文 中川 尚志
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.164-170, 2016-09-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
8

帯状疱疹ウイルス感染による下位脳神経障害が原因で嚥下障害を来した症例を経験したため報告する。初診時に左軟口蓋麻痺、カーテン徴候、左咽頭筋麻痺、咽頭クリアランスの左右差を認め、迷走神経麻痺からの嚥下障害と判断した。30 日後の診察時でも軟口蓋麻痺の残存があり、初診時には認めなかった患側の声帯麻痺が確認されたが、咽頭収縮筋の機能は改善したため、早期に経口摂取可能になったものと思われた。
著者
新里 祐一 吉田 崇正 園田 世里夏 山内 盛泰
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.171-175, 2016-09-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
7

急性喉頭蓋炎は急激に進行する可能性がある感染症であり、時には数時間の単位で呼吸困難が進行する疾患である。今回われわれは咽頭痛の症状が発症してから 8 時間後に窒息に至ったものの、この病態の知識があった家族の医療関係者がその疑いを持って救急外来を受診させていたため救命し得た急性喉頭蓋炎の 1 例を経験したので報告する。症例は 50 歳、男性。主訴は咽頭痛であった。喉頭内視鏡検査にて確定診断がついた直後に窒息状態となった。ミニトラックⅡ®を用いて緊急に気道確保を施行した後、外科的切開を行った。術後は抗生剤とステロイドを使用し、比較的速やかに喉頭蓋の腫脹は軽減した。急性喉頭蓋炎は耳鼻咽喉科医にはよく知られた疾患であるが、耳鼻咽喉科医以外の医師を含めた医療関係者にその危険性が周知されているとは言い難い。医療関係者に急性喉頭蓋炎の知識を共有してもらうように耳鼻咽喉科医は努力する必要がある。
著者
殷 敏 三好 彰 程 雷 白川 太郎 榎本 雅夫 嶽 良博 彭 解人 阮 標 今野 昭義 佐橋 紀男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6Supplement2, pp.625-629, 1999-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

1995年より中国南部の3つの省 (江蘇省・広東省・雲南省) において、1660名の小中高校生と2167名の大学生を対象に、視診・ 問診・ スクラッチテストから成る鼻アレルギー疫学調査が実施された。また1998年春には南京医科大学第一付属医院耳鼻咽喉科外来にて、鼻アレルギー症例の臨床的観察が行われた。疫学調査からは、スクラッチテストで3.8%の被験者がスギ花粉に対して陽性であることが、またスギ花粉症の頻度は0.26%であることが判明した。スギ花粉症はまぎれもなく中国に存在するが、まだその頻度は低い。スギ花粉飛散量とともに、社会的背景要因の関与が原因として推測されている。
著者
松本 希
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.142-145, 2013-05-20 (Released:2014-06-01)
参考文献数
9
著者
岸本 麻子 井野 素子 多田 直樹 南 豊彦 井野 千代徳 田辺 正博
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.237-242, 2010 (Released:2011-11-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Angina Bullosa Haemorrhagica (ABH) の原因として Oral Allergy Syndrome (OAS) が原因と思われた 2 例を報告した。ABH は特発性に発症する口腔内の大きな血腫で多くは食事中ないし食直後に発症する。原因の一つに硬いものを食した物理的要因が考えられているが、明確にアレルギーとの関連での報告はない。OAS は食物にて発症する接触アレルギーで、食事中ないし食直後に発症する。主な症状は痒みなど刺激症状である。報告した 1 例は頬部に発症した ABH でメロンを食し、1 例は軟口蓋に発症した ABH でリンゴを食して発症した。共に、口腔内に痒みを自覚し、前者は頬部を刺激陰圧化している内に腫れが出現し、後者は舌で口蓋を触れている内に発症した。両者は共にスギ花粉症を持ち、シラカバ抗体が陽性であった。ABH の原因の一つとして OAS があることを示し、その診断にあたっては、シラカバ抗体を含めたアレルギー検査が必要となると考えた。
著者
豊住 頼一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.47-68, 1985-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
44

The author presented a new concept in the development of the phonatory organ of vertebrates. This concept was based on his own studies and other works in comparative anatomy. The evolution of the phonatory organ is developed from the same trunk from lung fish to reptile in the evolutionary tree, and divides into two branches. One branch is the route from reptile to bird, the other branch is the route from reptile to mammal. In the first branch, the lower part of the trachea just attached to the air sac develops to create the syrinx in the bird and is called the air-bladder system. In the second branch, the upper part of the trachea developed into a preventive mechanism for aspiration, forming the vocal fold, and is called the larynx system.
著者
山口 宏也 四倉 淑枝 久保田 彰 井上 荘三郎 吉沢 由利子 宮川 晃一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5Supplement2, pp.863-868, 1983 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

Twenty-six cases subjected to neck surgery were operated under epidural anesthesia. These consisted of one case of laryngectomy, three cases of thyroidectomy, four cases of resection of median cervical cyst, twelve cases of thyroplasty type I, five cases of arytenoid aduction and one case of resection of lypoma. In the studies, it was shown that epidural anesthesia had benefits for thyroidectomy, thyroplasty type I and arytenoid aduction. The patients were conscious and without pain while undergoing the operations, allowing the surgeon to speak with them to make sure of the patient's voice changes. The anesthesia was also good for laryngectomy and radical neck dissection of its broad numbring area. Usually the patients were most uneasy bewfore and during their operations. Therefore, we used a much larger dose of tranquilizer before and during the operations. By using a smaller dose of anesthetics than is used for local anesthesia, we found that this anesthesia had a broader numbring area resembling general anesthesia. It was concluded that the epidural anesthesia should be used more frequently for neck surgery than types.
著者
西田 之昭 周防屋 洋
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.264-270, 1964-12-15 (Released:2013-05-10)
参考文献数
21

The resistance and the efficiency of the glottis as the generator of voice production are important factors, but it has been impossible to measure them, because we have no practical measuring method of the subglottic pressure except in the patients with a tracheostoma.The intention of this paper is to offer the measuring method of the subglottic pressure in normal persons and to develop the investigation of the regulation mechanism of voice.The relation between the intraesophageal pressure and the subglottic pressure was examined and a new interruption method was tried.The change of the intraesophageal pressure during the phonation has a close relation with the expiratory level and it is not parallel with subglottic pressure. But both pressures have equal deviations and synchronized changes only in the beginning or the stopping of voice. Van den Berg's intraesophageal method-measuring the pressure deviation at the abrupt stop of voice, with the relaxed diaphragm and thorax and the open glottis-is certified as an almost accurate method. In this method, it is not always easy to swallow the esophageal balloon, and the complicated technique is required.The interruption method-at first devised to measure the alveolar pressure in the respiration- was examined.The examiner let the subject put on a mask, which is airtight and connected with shutter and pneumotachograph. During the phonation, the pressure elevation was produced in the mask by the momentary interruption of the air-flow by means of the shutter. This pressure elevation was equal to the subglottic pressure. This fact was ascertained in the patient with a tracheostoma and the interruption of air-flow gave little effect to the subglottic pressure. This method was painless and easily performed.As is stated, we have two methods concerning the measurement of the subglottic pressure. The interruption method is better for the measurement of the resistance and the efficiency of voice production, and the intraesophageal method is better for the observation of the changes of subglottic pressure in the beginning of phonation or in the production of consonants in which the change of the expiratory level is little.
著者
飴矢 美里 西窪 加緒里 三瀬 和代 本吉 和美 兵頭 政光
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6Supplement4, pp.S249-S255, 2006-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11

本研究では嚥下機能の加齢に伴う生理的変化について、健常高齢者47名 (男性10名、女性37名;年齢60-87歳、平均68.9歳) を対象として検討した。自己記入式問診票では、「飲んだり食べたりする際にむせることがある」が30%、「飲み込もうとする前にむせる」が23%、「以前と比べて食べたり飲んだりしにくい」が13%などであり、高齢者では潜在的な嚥下障害の存在が示唆された。嚥下内視鏡検査では喉頭蓋谷・梨状陥凹の唾液貯留、声門閉鎖反射・嚥下反射の惹起、3nteの着色水嚥下後の咽頭クリアランスを0-3の4段階にスコア化して評価した。その結果、スコア2および3の嚥下機能低下を示した例がそれぞれ19%、13%、25%に認められた。嚥下造影検査では、舌骨および喉頭挙上距離には加齢による変化がなかったものの、咽頭通過時間および喉頭挙上遅延時間が延長した。これらの変化は70歳以上の高齢者において、より顕著であった。以上より、高齢者では咽頭期を主体とする嚥下機能が低下することが示された。
著者
井野 千代徳 一色 信彦 松島 康二 多田 直樹 井野 素子 溝口 兼司 田邉 正博
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.147-161, 2013-07-20 (Released:2014-08-01)
参考文献数
14

痙攣性発声障害(SD)は心因性疾患ではなく局所性ジストニアとされているが、多数例を診る中で SD 患者にも陰性の感情を認めることも少なくない。そこで、62 例の SD 患者を対象にしてその特徴を調べる目的で問診、心理検査そしてアンケートなどを行い、その結果を心因性疾患とされるほかの耳鼻咽喉科疾患と比較を行うことで検討した。SD 患者は 30 歳未満の症例が多数を占め、病悩期間が 2 年以上の症例が多かったことが咽喉頭異常感症と舌痛症と大いに異なっていた。CMI (Cornell Medical Index) で神経症傾向以上を示した症例は 12.9%とほかの心因性疾患とされるそれら疾患に比して著しく低かった。 しかし、その内容の検討より SD 患者は「易怒性」と判定される例が上記疾患に比して高かった。SD 患者の多くはその発症時、声をよく使う環境下にあり原因のいかにかかわらず声の詰まりを経験し悩んでしまう不安障害 (SAD) のごとく神経症的に不安・怯えでは無く、ある種のいら立ちをもって悩んでしまう。SD 患者の多くは電話を苦痛にとらえているが、特に騒音下での電話に苦痛を覚えることを特徴とする。大きな声を出そうとすることが原因ととらえているが、コミュニケーションスタイルのゆがみも疑われる。SD は「性格」、「環境」そして「予期不安・身構え」、「長い病悩期間」があり発症し、「予期不安・身構え」より生じる「声門下圧の上昇」とそれによって生じる「声帯の締まりの増強」によって生じる二次的な回路で強化される。治療はこの二次的に生じた回路の解消であるが容易ではなく、治療法としては一色の甲状軟骨形成術 (Ⅱ型) が最良と論じた。
著者
大前 由紀雄 小倉 雅実 唐帆 健浩 村瀬 優子 北原 哲 井上 鐵三
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.301-304, 1998-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
8
被引用文献数
3

嚥下運動において舌前半部は硬口蓋と接触し舌運動の基点 (アンカー) を形成することで口腔内の食塊を後方に移送している. 今回はこのアンカー機能の嚥下第2期におよぼす影響を検討した. 対象は健常者8名で, 正常嚥下時, アンカー機能補強時, アンカー機能抑制時における嚥下動態を咽頭食道造影検査と嚥下圧検査で観察した. アンカー機能を補強した嚥下では, 咽頭後壁収縮波高の短縮と舌根部最大嚥下圧値の上昇が観察された. 一方, アンカー機能を抑制した嚥下では, 咽頭後壁収縮波高の延長と舌根部最大嚥下圧値の低下が観察された. したがって, 舌前半部によるアンカー機能は, 舌根部の後方運動にも影響することが示唆された.