著者
山際 幹和
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.128-131, 2006

胃食道逆流症 (GERD) の定型的症状である胸やけ・呑酸症状が全くなかったにもかかわらずプロトンポンプ阻害薬 (PPI) であるlansoprazole (タケプロン®) が奏効した挿管後の喉頭肉芽腫症患者 (女性、24歳、Marfan症候群があり、急性大動脈剥離の全身麻酔下手術と術後管理のため22.5時間の気管内挿管を受けた後に右披裂軟骨声帯突起部に肉芽腫が発生) を経験した。本例の治療経験から、挿管による組織傷害は肉芽腫の発症のきっかけにはなるが、肉芽腫の形成に大きく関与する要因として、不顕性に食道や咽喉頭へ逆流する胃内容物の反復的な物理的・化学的刺激が重要であると推察した。筆者は、本例や類似症例の治療経験から、難治性の挿管性肉芽腫症患者に対しては、明白なGERDや咽喉頭逆流症の自覚症状がなくても、PPIを試用する価値があると考えている。

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