- 著者
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西村 敬史
- 出版者
- 公益財団法人 日本心臓財団
- 雑誌
- 心臓 (ISSN:05864488)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.3, pp.67-67, 2005
心房細動は特殊な場合を除いて心臓性急死を来す疾患ではないが,ときに治療目的に投与された抗不整脈薬による心臓性急死が発生することが知られている.しかしリズムコントロールを行った自験218例(平均年齢68.9歳,平均観察期間17.6カ月)において1例の心臓性急死も発生せず,心室細動,持続性心室頻拍,TdPも認めなかった.3例を失ったが,その死因は急性心筋梗塞,肺炎,腎細胞癌であった.<BR>心臓性急死のみられなかった理由として,リズムコントロールを行う症例の選択,抗不整脈薬の投与量,併用薬の選択,外来における心電図記録や電解質検査を適切に行うことが重要であると考えられた.さらに洞調律維持が困難な症例を"深追い"せず心拍数コントロールへ変更する判断も重要であると考えられた.<BR>心房細動に対するリズムコントロール治療は,それを適切に行うことで治療に伴う心臓性急死は予防可能であり,多くの症例に対する第一選択の治療となり得る.