著者
今井 五郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.798, pp.798_1-798_16, 2005
被引用文献数
8

1960年代に「大気圧工法」と銘打ってわが国に導入された「真空圧密工法」は, その後の積極的な実用化努力にも拘らず, 実用工法として広く受け容れられないままに終わり, '80年代は空白の期間であった. ところが'90年代に入ってから中国やフランスで実用化が達成され, 施工実績が急増し始めた. 日本もその例に漏れず, 現在では土木学会年次学術講演会や地盤工学研究発表会で「真空圧密」のセッションが設けられるほどの研究対象までになっている. このように一時の休眠期間を経た後で再評価された地盤改良工法はめずらしい. そのような特異な経緯を辿った背景と理由があるはずである. それらを明確にし, 地盤改良工法としての「真空圧密工法」をさらに発展させようというのが, 本論文の目的である.<br>いずれの地盤改良工法にもその目的を達成するための「原理」及びそれを具現化するための「手段」がある. そしてそれら総体としての工法にそれ特有の「特徴」が自ずと備わる. これらのすべてを「真空圧密工法」について論じ尽くせれば言うことは無いのだが, この論文では「原理」を中心に据えた議論を展開する. 「原理」に対する理解不足が, 当時の地盤内減圧技術の未熟さと相俟って, 上述した「真空圧密工法」の休眠期間を生んだと考えるからである.

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