著者
相模 成一郎
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.66-69, 1977
被引用文献数
1

慢性PCB中毒症と診断した36才主婦が, 結婚13年目, 絶食療法終了後2年目に正常児を初産した。出産時に採取した母体血, 臍帯血, 大網(母体), 胎盤, 臍帯, 羊水, 新生児血を材料としてそれぞれのPCB含有量を測定した。また, 産後9ヵ月間の乳汁分泌量を計量し, 乳汁中のPCB含有量を測定した。これらの測定成績に基づいてつぎのことがいえる。<BR> 1) 母体中のPCBは胎児を汚染する。臍帯血, 羊水, 胎児血のPCBによる汚染度は母体血中のPCB濃度に比しそれぞれ1/4, 1/6, 1/42である。また, 胎盤と臍帯とのPCBによる汚染度は母体の大網に比べると1/230, 1/1200となつている。<BR> 2) 乳汁中に排泄されるPCB含有濃度は母体血中のそれよりも常に高い。したがつて, 大量の乳汁分泌は母体内におけるPCB排泄のための大きな経路であり, その授乳は乳児に危険である。<BR> 3) PCB中毒症の実験成績から自験症例の妊娠と分娩とは絶食療法の成果であると推定した。

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