著者
田中 歓子 園田 優子 津田 道夫 谷村 保夫 遠藤 秀彦 相模 成一郎
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.84-92, 1982 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

トプシムスプレーの有用性を検討する目的で尋常性乾癬, 湿疹・皮膚炎群など34例につきフルコートスプレーを対照とする二重盲検試験を行なった.その結果, 治療前と比較した全般改善度では治療1週後で, 各評価日における薬剤間の優劣比較では治療1週後および2週後で, また有用性の評価でも両剤間に有意差が認められいずれもトプシムスプレーがフルコートスプレーに比し優れていた. この事から, トプシムスプレーは有効性および有用性がフルコートスプレーより優れ, その治療効果の発現は速やかで広範囲の皮疹や被髪部位の病巣の治療に適した薬剤と考えられた.
著者
藤浪 得二 相模 成一郎 外山 孟生 阪口 啓一 山本 三郎 山崎 果 畑中 茂 山本 義彦 秋本 祐三
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3-4, pp.193-204, 1962 (Released:2010-08-25)

The skin irritating effect of various compounds was examined and the following results were obtained.1) Alcohols and esters are, in general, non-irritating effect. Acids, lactones and phenolshave a slight irritating effect. Aldehydes are strongly irritating and halogen compounds have also a strong irritating action.2) The greater the degree of unsaturation, the stronger is the irritating effect. Double bond compounds, especially, have a strong irritating action.3) Ketones are slightly irritating but those which are readily enolized have a strong irritating action.4) The irritability of aromatic aldehydes differs according to the type and position of the substituting radical.5) Water soluble but fat insoluble and water insoluble compounds are non-irritating. Skin irritants have the property of being both water and fat soluble in a certain ratio.
著者
相模 成一郎
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.66-69, 1977
被引用文献数
1

慢性PCB中毒症と診断した36才主婦が, 結婚13年目, 絶食療法終了後2年目に正常児を初産した。出産時に採取した母体血, 臍帯血, 大網(母体), 胎盤, 臍帯, 羊水, 新生児血を材料としてそれぞれのPCB含有量を測定した。また, 産後9ヵ月間の乳汁分泌量を計量し, 乳汁中のPCB含有量を測定した。これらの測定成績に基づいてつぎのことがいえる。<BR> 1) 母体中のPCBは胎児を汚染する。臍帯血, 羊水, 胎児血のPCBによる汚染度は母体血中のPCB濃度に比しそれぞれ1/4, 1/6, 1/42である。また, 胎盤と臍帯とのPCBによる汚染度は母体の大網に比べると1/230, 1/1200となつている。<BR> 2) 乳汁中に排泄されるPCB含有濃度は母体血中のそれよりも常に高い。したがつて, 大量の乳汁分泌は母体内におけるPCB排泄のための大きな経路であり, その授乳は乳児に危険である。<BR> 3) PCB中毒症の実験成績から自験症例の妊娠と分娩とは絶食療法の成果であると推定した。
著者
周 光平 森田 秀樹 浅野 翔一 長 等 相模 成一郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.219-226, 1986

組織学的に mononuclear infiltrative 型の多発性の granuloma annulare の皮疹を, 電顕とmonoclonal抗体法とによって検索した。この結果, 病巣内の類上皮細胞には分泌穎粒とphagoaomeは認められず, ミトコンドリアの増数が証明された。Leu 3a 陽性リンパ球とLeu 2a 陽性リンパ球は病巣の辺縁部に存在し, 前者が後者に比し数的優位を占めていた。免疫グロブリンの沈着は全ったく認められず, 僅かにC<SUB>3</SUB>が病巣内血管に一致して証明されたにすぎなかった。<BR>以上の検索成績と文献的事実とに基づき, granuloma annulare の組織発生について言及すると共に, 免疫病理学的見地からの類推を記述した。
著者
夏秋 優 山下 紀子 相模 成一郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.160-164, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

成人アトピー性皮膚炎患者において抗核抗体の検査を行ったところ, 36名中20名が陽性 (40倍以上) であり, そのうち80倍以上を示したのは6名であった. 血清IgE (RIST) 値との関連をみると, 抗核抗体陽性者は総IgE値が高い傾向にあったが, 皮膚炎の発症時期や, 気道アトピーの既往・合併の有無と抗核抗体との間には明らかな相関は認められなかった. また, 顔面における皮疹の程度と抗核抗体価との間にも関連性はみられなかった.アトピー性皮膚炎患者における抗核抗体の出現の意義については不明であるが, 橋本病を合併してきた患者を自験しており, 注意深く経過を観察する必要があるものと思われた.