著者
境 健自 平田 和之
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.1311-1320, 2005

近年, マシンの高速化, 硫酸バンドの減少, 古紙比率の増加等の理由により, 濾水性歩留り向上剤の重要性はますます増大している。当社は, カチオン性ディスパージョンポリマー (DRシリーズ) とアニオン性ディスパージョンポリマー (FAシリーズ) を組み合わせて用いるツインズシステムを開発し, 多くの製紙工場でこの分野に実績を上げてきている。<br>このFAシリーズは, 水溶性ポリマー粒子を水系に分散させる当社独自のディスパージョン技術を用いたアニオン性のPAM系高分子であり, 抄紙プロセスにおいて, 良好な地合を維持しつつ, 灰分歩留りが高いという特徴がある。この特異的な凝集挙動は, アニオンポリマーFA-230の微粒子特性が関与していることがわかった。<br>当社は, その微粒子挙動の機能を解析し, 高速マシンに適用するために改良を加えた結果, 改良アニオン微粒子型ポリマーを開発することに成功した。このアニオンポリマーは, 分子レベルでの構造制御により, ポリマーでありながらより強い粒子性の側面を持ち, 溶解性, 分散性に優れる。<br>このアニオン微粒子ポリマーを, カチオンポリマーと組み合わせツインズシステムとして使用することで, 高シェアにおいても, 高い歩留り率を維持しながら, 細かい緻密なフロックを形成し, 高地合, 高濾水性, 低含水率を実現できた。この従来にない微粒子特性をフロッキーテスター, 動的濾水試験機DDA, および歩留り試験機DDJで証明した。

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