- 著者
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腰塚 哲夫
- 出版者
- 紙パルプ技術協会
- 雑誌
- 紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.9, pp.912-918, 2011
- 被引用文献数
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我が国の本格的な無塩素漂白(ECF漂白)は1998年に北越製紙(株)新潟工場で始まった。その後,各社もECF漂白への転換を開始した。ECF漂白方法としては,二酸化塩素,オゾン,酸素,過酸化水素を組み合わせた漂白シーケンスが採用された。このECF漂白方法の問題点として,製品の褪色性が悪化することが明らかになった。特に,酸性抄紙,パルプ中のヘキセンウロン酸,硫酸バンドの3者が揃うと褪色性がより悪化する事が分かった。我々はヘキセンウロン酸を効率的に除去できる薬剤について検討した結果,モノ過硫酸が効率的に除去できることを見いだした。モノ過硫酸は高濃度過酸化水素と高濃度硫酸を反応させて生成させることができるが,反応熱が大きいこと,腐食が大きいこと等の問題により今まで工業的に連続的に製造する方法は確立されていなかった。我々は,これらの問題を克服して工業的に連続的に製造する方法を確立した。この方法を利用した世界で初めての実用装置が,王子製紙(株)富岡工場で採用された。<BR>その後,モノ過硫酸を導入した漂白シーケンスは,1)褪色問題を解決する,2)コストダウン,3)パルプの高白色度化,4)生産増が可能である,等の特徴が認められ,2工場で採用され,更に2工場で採用される見込みである。