- 著者
-
金子 優
- 出版者
- JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
- 雑誌
- 紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.8, pp.863-867, 2012
王子板紙江戸川工場は東京都内唯一の製紙工場であり,東に旧江戸川,残る三方を住宅地に囲まれるロケーションとなっている。当工場では古紙の集荷がし易く,また製品の消費地に近いという優れた立地条件を生かし,白板紙を生産している。<BR>江戸川工場5号抄紙機は1971年5月に小林製作所ハイスピードウルトラフォーマーの国内白板紙1号機として建設され,現在では,年間約14万トンの白板紙を生産しており,主に紙器用途に使用されている。これまで印刷加工技術の進歩に対応して品質改善を進めてきたが,昨今,印刷加工での要求品質が高まり,インキセット性やニス塗工適性,プレスコート適性を改善する必要があった。そこで2006年8月に上塗工方式をエアーナイフコーターからブレードコーターへ改造を行い,更なる品質の改善を図った。<BR>本稿では,コーター改造後の操業経験及び品質改善効果について下記の項目に沿って報告する。<BR>まず,設備上の問題点対策を以下に挙げる。<BR>1)カラーパンの改良→スプラッシュガード取り付け,カラーパン形状の見直し<BR>2)振動スクリーンの改良→ノンチューブ固定型への変更,掃除の頻度・網の取り替え周期の標準化,エアー抜き管の大径化等<BR>3)バッキングロール汚れ対策→フロークリンドクター設置<BR>次に,品質上の問題点としてストリークの多発があり,対策を以下に挙げる。<BR>1)洗浄方法の見直し→洗浄薬品の変更<BR>2)振動スクリーン乾き対策→上部配管レイアウト,密封,ノンチューブ固定型網等<BR>3)配管,タンク内泡対策→配管内の空気が触れる部分の減少,タンクへの落差軽減等<BR>4)原紙表面付着異物対策→ドライヤードクターの整備,材質変更