著者
田中 直彦
出版者
The Japan Society of Ultrasonics in Medicine
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.315-328, 2008
被引用文献数
1

<B>はじめに</B>:通常のカラードプラ法により検出出来る最大の血流速は,エイリアシングによって制限されている.そこで,エイリアシングを生じることなく,高速度の血流速を推定する広帯域ドプラ法を考案した.<B>方法</B>:提案する方法では広帯域パルスを送波し,得られる広帯域エコー情報の全てを用いて速度を推定する.受波したエコー信号はフーリエ変換し,クロススペクトルに変換する.クロススペクトルの位相は周波数の関数であり,これを直線近似した時の傾きが反射体の平均速度に対応する.反射体の速度がナイキスト限界より大きい場合,クロススペクトルの一部の位相が±πradを越えて折り返す.この折り返した位相を,広帯域のエコー情報を用いて修正することでエイリアシングを回避する.反射体の速度は,折り返しの修正された位相の傾きから求められる.<B>結果</B>:本方法により速度推定範囲が従来法の約3倍に拡大出来ることを,計算機シミュレーションで確認した.また,雑音や反射体速度のばらつきに対して,良好な頑健性を持っていることが確認出来た.<B>結言</B>:ナイキスト限界を越えることの出来る血流速推定法を示した.本方法により,エイリアシングの生じないカラードプラ診断装置が実現出来る可能性がある.

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こんな論文どうですか? エイリアシングを生じない血流速推定のための広帯域ドプラ法(田中 直彦),2008 https://t.co/9JPc8tV6xp
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