著者
田中 直彦
出版者
The Japan Society of Ultrasonics in Medicine
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.315-328, 2008
被引用文献数
1

<B>はじめに</B>:通常のカラードプラ法により検出出来る最大の血流速は,エイリアシングによって制限されている.そこで,エイリアシングを生じることなく,高速度の血流速を推定する広帯域ドプラ法を考案した.<B>方法</B>:提案する方法では広帯域パルスを送波し,得られる広帯域エコー情報の全てを用いて速度を推定する.受波したエコー信号はフーリエ変換し,クロススペクトルに変換する.クロススペクトルの位相は周波数の関数であり,これを直線近似した時の傾きが反射体の平均速度に対応する.反射体の速度がナイキスト限界より大きい場合,クロススペクトルの一部の位相が±πradを越えて折り返す.この折り返した位相を,広帯域のエコー情報を用いて修正することでエイリアシングを回避する.反射体の速度は,折り返しの修正された位相の傾きから求められる.<B>結果</B>:本方法により速度推定範囲が従来法の約3倍に拡大出来ることを,計算機シミュレーションで確認した.また,雑音や反射体速度のばらつきに対して,良好な頑健性を持っていることが確認出来た.<B>結言</B>:ナイキスト限界を越えることの出来る血流速推定法を示した.本方法により,エイリアシングの生じないカラードプラ診断装置が実現出来る可能性がある.
著者
谷垣 伸治 片山 素子 松島 実穂 橋本 玲子 岩下 光利
出版者
The Japan Society of Ultrasonics in Medicine
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.413-420, 2011

救急外来では,全ての疾患を確定診断する必要はない.緊急を要する患者のみを抽出し,時期を逸せず専門医に委ねればよい.産婦人科救急外来に来院する患者の主訴の3分の2は,下腹部痛と性器出血であり,この二つへの対応をおさえておくことが肝要である.産婦人科領域において緊急を要する疾患は限定されている.当院において,救急外来での診察直後に緊急手術を要した疾患は,異所性(子宮外)妊娠,卵巣出血,卵巣腫瘍破裂・茎捻転,PID(pelvic inflammatory disease)のみであった.診断の第一歩は,妊娠反応である.妊娠の有無により,疾患を患者数から見て約半数否定することが出来る.ついで超音波断層法を行う.緊急を要する疾患の鑑別の為には,子宮内に妊娠しているか否か,卵巣腫瘍の有無,腹腔内出血の有無の確認のみで十分である.心配な症例は,時間をおいて繰返し検査する.超音波断層法は,他の検査に比し簡便かつ非侵襲であり,産婦人科救急において最も有用かつ必須な検査である.
著者
古川 政樹 古川 まどか
出版者
The Japan Society of Ultrasonics in Medicine
雑誌
Japanese journal of medical ultrasonics = 超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.315-322, 2006-05-15
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

頭頸部領域超音波検査の基本について述べる. 甲状腺や耳下腺など限定された一部の臓器だけでなく, 頸部全体が検査の対象範囲で, さらにこれら領域の疾病は密接に関連していることが少なからずあるため, 頭頸部の検査を行う時は, 解剖ならびに病態に関する十分な理解が求められると同時に, 疾患の全体像を見落としなく把握するよう努める姿勢が要求される. 以下, 検査時の基本, 解剖学的特徴, 正常所見, 対象疾患と検査・診断の具体的な進め方などについて概説し, 頭頸部領域において超音波検査の果たす役割の重要性について述べる.