著者
笹川 征雄
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.343-349, 2004

シックハウス症候群と化学物質過敏症が同義語とされたり,シックハウス症候群を化学物質過敏症に包括する概念があったりして混乱を招いている。混迷した状況で情報が発信され,臨床診断,基礎研究にまで深刻な影響を及ぼしている。両疾患の歴史的な経緯や概念を比較し,関連研究論文や自験例の総括から,住環境との因果関係,室内の揮発性有機化合物と症状に関する量-反応関係,症状や症状の再現性,病態・発症機序の違いなどから,両疾患は明確に区別される。化学物質過敏症の発症には,社会心理学的要因が関与し,心因性や精神科疾患の関与が深いと考えられる。シックハウス症候群の定義を,「住環境による健康障害である」とした。

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