- 著者
-
関口 正幸
- 出版者
- 日本不安障害学会
- 雑誌
- 不安障害研究
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.2, pp.85-92, 2014
恐怖体験時の嫌悪感覚はその体験をしたときの環境全般やそのとき感知した音や匂いなど(中性事象)との連合記憶として脳に貯えられる場合がある。この連合記憶は条件性恐怖記憶と呼ばれており,古典的条件付けにより獲得される潜在型情動性記憶の一つと考えられている。条件性恐怖記憶の獲得は生物の生存のために極めて重要であるが,人間においては不安障害などの原因となる場合もあり,必要に応じてコントロールが必要である。そのためには,条件性恐怖記憶が元来どのような生体システムによりコントロールされているのかを知る必要がある。本稿では条件性恐怖記憶の修飾にかかわる生体システムについて,われわれの研究や国内外における最近のトピックスを紹介する。