著者
岸川 倫子 大橋 淳司 後藤 悦子 石澤 充 杉田 勇 浜 一広
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.760-760, 2003

【はじめに】回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)の利点にADL能力の向上や生活全体の活発化などが挙げられる。当院においては2003年4月の開設に向けて2002年10月より仮施行してきた。その中で患者の「しているADL」と「できるADL」の差に着目し、11月時点での実態をアンケート調査し検討を行ったので報告する。【対象と方法】当院回復期リハ病棟に関わる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士(以下リハスタッフ)、看護師、介護員、ソーシャルワーカー、医師、看護助手(以下病棟スタッフ)の計34人を対象に質問紙による選択法と自由回答にてアンケート調査した。内容は(1)「しているADL」と「できるADL」について4項目(2)病棟における他職種、患者との関わりについて1項目(3)情報交換、記録について3項目である。【結果】回収率97%(1)a)「できるADL」を把握している:いる62% いない25% 又、どのように把握したか:カルテ79% カンファレンス(以下カンファ)75% リハスタッフから聴取66% b)「しているADL」を把握している:いる78% いない9% 又、どのように把握したか:カルテ81% カンファ81% 看護師、介護員から聴取90% c)「できるADL」と「しているADL」の差が縮まったと思うか:思う84% 思わない6% d)c)の理由は何か:「できるADL」と「しているADL」を把握できた11件 カンファで全職種が統一した目標を持った9件 リハスタッフの病棟での関わりが増えた4件(2)e)介助方法の指導:リハスタッフ回答-している88% していない0% 病棟スタッフ回答-受けた80% 受けていない4%(3)f)カンファにて他職種との問題の共有:十分90% 不十分0% g)カンファにて今後の方針は:明確96% 不明確0% h)カルテにて今後の方針は:明確50% 不明確25%【考察】「できるADL」と「しているADL」の差が縮まったと8割のスタッフが感じていた。理由として「できるADL」と「しているADL」の把握が出来るようになったからという意見が多かった。把握方法は様々なものがあるが、カルテにて今後の方針は十分と言う意見が5割であるのに対し、カンファでは問題の共有化、今後の方針が明確になったと9割の回答がありカンファの有効性が示された。又、介助方法の指導を受けた病棟スタッフ、指導したリハスタッフが共に8割以上を占めた。これよりリハスタッフの病棟生活への介入が示され「できるADL」と「しているADL」の差を縮めるための行動がとられていることが示唆された。よって、リハスタッフが積極的に病棟生活に介入する事で「できるADL」を病棟スタッフが普段の生活の中での「しているADL」の向上に繋げられたと考えた。今後はADL自立度、在院日数、自宅復帰率に与える影響等を評価・検討していく必要性を感じた。

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