著者
李 嵐
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.G0934-G0934, 2006

【目的】21世紀を迎えた日本では、高度な知識や専門技術さらに豊かな人間性と高い倫理観をもった理学療法士が求められている。働きながら学ぶという夜間部の特性を生かし、知識と技術に偏重することなく、思いやりを持てる心の豊かさと高い倫理観を併せ持った理学療法士を養成するのは我々の教育理念である。今回、理学療法学科夜間部に在籍する学生の就業状況を調査し、学業成績との関連性を検討し若干の示唆が得られたので報告する。<BR><BR>【方法】平成15年度に当校理学療法学科夜間部に入学した学生43名(男性学生29名、女子学生14名、平均年齢24.4歳)を対象とした。学業成績として、一年次全科目学科成績を用いた。43名の学科試験成績の総合偏差値順位によって成績上位群(A群)、成績中位群(B群)、成績下位群(C群)の3グループに分けた。全員に対し就業状況と学習状況に関するアンケート調査を実施した。調査内容は最終学歴、就業施設、一日平均就業時間数(WH)、一日平均学習時間数(LH)、または就業と学習過程で生じる問題点などの質問から構成した。結果をグループ間にて比較しT検定、反復測定分散分析と相関係数の検定を用いて統計学的検討をした。<BR><BR>【結果】A群は最も高い平均年齢(26.7±7.4歳)を示し、C群(21.9±4.5歳)との間に有意な差(P<0.05)が見られた。B群に一日平均就業時間数(WH)が最も少なく、A群より有意に(P<0.05)低値を示した。一日平均学習時間数(LH)については、A群とB群はC群より有意に(P<0.05)高値を示した。WHとLHの間に強い相関関係を認められなかった。<BR><BR>【考察】学業成績は学習効果によって左右される。学習効果は基礎学力と学習時間の二つの要因に影響される。学習の一連の訓練をもっとも長く受けて来た四年制大学卒学生が必ずしも上位の成績を得られなかったのは、学習動機の不足と高等教育レベルの低下に関連すると推察できる。<BR> 高い年齢層の学生が良い成績を得られたのは、「将来への危機感による動機づけ」、「いままでの人生経験による問題処理能力」などの要因は良い影響を及ぼしていると考えられる。<BR> 就業時間数と学習時間数の間に強い相関関係を示さなかったのは、80%以上の学生が医療施設に就業し、日頃から臨床に立触っている。そこで知識不足を実感させるのは動機となり、休み時間や通勤通学電車の中の時間を学習時間としてあてる学生も少なくないのは原因ではないかと考える。<BR><BR><BR>【まとめ】学生の年齢層が幅広く、働きながら学べるのは夜間部の特徴と言える。今回の調査によって、学業成績は就業時間数にほとんど影響されず、年齢と授業外学習時間数は学業成績に関係していると考えられる。

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