著者
森 友久 芝崎 真裕 鈴木 勉
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.40, 2013

精神依存には,薬物を摂取しようとする試み,摂取による薬物の感覚効果,さらには,摂取時の環境要因が密接な関わりを持っている。そこで,薬物の感覚効果を指標にする薬物弁別試験,薬物による強化効果を指標にする薬物自己投与試験,さらに薬物摂取時の効果と環境要因を条件づけする条件づけ場所嗜好試験が薬物依存形成能の評価や作用機序の解明に現在までに広く用いられてきた。非常に強い精神依存を引き起こす薬物としてメタンフェタミン,コカインならびにモルヒネなどが知られている。これらの依存性薬物の精神依存の機序として,中脳辺縁ドパミン神経系の活性化が重要であることが明らかにされてきた。メタンフェタミンおよびコカインは,中脳辺縁ドパミン神経系の投射先である側坐核におけるドパミンの放出ならびに再取り込みを阻害することにより,精神依存を発現する。モルヒネは,中脳辺縁ドパミン神経系の細胞体である腹側被蓋野のGABA神経上に分布する&mu;-オピオイド受容体に作用し,脱抑制機構を介して,側坐核からドパミンを遊離することがよく知られている。また,アルコールの依存にも側坐核からのドパミンの遊離が関与していると考えられている。一方,クラブドラックとして乱用されてきたフェンサイクリジンおよびMDMAなどは,セロトニンおよびドパミン受容体作動作用ならびにNMDA受容体拮抗作用が精神依存の形成に関与していることが示唆されている。さらに,大麻の作用には,主成分であるテトラヒドロカンナビノールが脳内のカンナビノイド受容体に作用することにより幻覚を発現する。最近では,MDMAおよびカンナビノイド誘導体が続々と合成され,「違法ドラッグ」として嗜好品の如く販売されている物も多いが,これらの依存形成機序はほとんど明らかにされていない。<br>

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