- 著者
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林田 智弘
西崎 一郎
菅生 雄矢
- 出版者
- The Operations Research Society of Japan
- 雑誌
- 日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:13498940)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, pp.27-43, 2014
部分ゲーム完全均衡は展開型ゲームに対する均衡概念であり,多くの展開型ゲームにおけるプレイヤーの行動のベンチマークとして用いられている.しかし,展開型ゲームの一種であるムカデゲームに対する被験者実験では,部分ゲーム完全均衡から逸脱する行動が多く観測されたことが報告されている.均衡理論では利得最大化の意味での合理的なプレイヤーが仮定されているが,ゲームが繰り返される場合,被験者は1回のゲームの利得の最大化ではなく,むしろ累積利得を考慮した長期的な視野に基づいた行動選択をしていると考えられる.本論文では,ムカデゲームに対して適応型エージェントを用いたシミュレーションにより,累積利得を考慮した長期的視野および被験者間での非対称性,利得に対するリスク態度などにより被験者の行動が説明できることを示す.