- 著者
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盛山 吉弘
- 出版者
- 公益社団法人 日本皮膚科学会
- 雑誌
- 日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
- 巻号頁・発行日
- vol.120, no.11, pp.2187-2194, 2010
近年,創傷管理の基本理論の1つとしてmoist wound healingというキーワードがあげられている.そして,本邦では,その理論をもとに,食品用のラップを用いて簡便に湿潤環境を作り出す,いわゆる"ラップ療法"が広く行われるようになっている."ラップ療法"は,医療材料でないものを使用するという問題点は残るものの,創傷管理の正しい知識をもった医療従事者が施行すれば,安価で有用な治療法の一つであろう.しかし,どんな傷も簡単に治る万能な治療法と誤解し,適応を考えずに"ラップ療法"を施行している医療従事者も多い."ラップ療法"の恩恵を受ける患者がいる裏側に,被害者が生まれている事実があることも忘れてはならない.本稿では,不適切な湿潤療法を施行され,重篤な感染症が続発した象徴的な5症例を供覧し,安易な湿潤療法の施行に警鐘を鳴らしたい.