著者
大谷 道輝 松元 美香 山村 喜一 内野 克喜 江藤 隆史
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.2257-2264, 2011-10-20 (Released:2014-11-13)
被引用文献数
2

副腎皮質ステロイド外用薬4種類の先発医薬品に対する後発医薬品の同等性を簡便に評価することを目的として,基剤に溶けている主薬の濃度とin vitroでの皮膚透過性を指標にして検討した.基剤に溶けている主薬の濃度は先発医薬品と後発医薬品で大きく異なっていた.ヘアレスラットによるin vitroでの皮膚透過性は先発医薬品が後発医薬品に対し,有意に優れていた.基剤に溶けている主薬の濃度とin vitroでの皮膚透過性の関係は,基剤の組成が類似している場合にのみ,良い対応関係が認められた.実験結果から,副腎皮質ステロイド外用薬では先発医薬品と後発医薬品の間に製剤学的特性に大きな差が認められた.これらのことから臨床では先発医薬品から後発医薬品への切り替えには患者の経過観察が不可欠であることが示唆された.
著者
野澤 茜 大谷 道輝 松元 美香 大谷 真理子 山村 喜一 成谷 さやか 杉浦 宗敏 内野 克喜 江藤 隆史
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.7, pp.1421-1426, 2011-06-20 (Released:2014-11-13)
被引用文献数
2

アトピー性皮膚炎の治療における保湿剤の塗布時期は,入浴直後の角層中水分量が多い時期が効果的と考えられているが,連用した詳細な報告はない.そこで,保湿剤を連用した際の入浴後塗布時期と保湿効果の関係について検討した.健常成人8名を対象に40°C,20分間入浴の1分後と1時間後にヘパリン類似物質含有製剤,白色ワセリンおよび尿素軟膏を2週間塗布し,角層中水分量を試験前および開始後に測定した.角層中水分量はいずれの保湿剤でも,入浴の1分後と1時間後の間に有意差は認められなかった.これらのことから,保湿剤の塗布時期は入浴直後と1時間後で差がなく,患者が毎日好きな時間に塗布するように指導することでコンプライアンスの向上が期待できることが示唆された.
著者
川島 眞 石崎 千明
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.3, pp.275-284, 2007

医療用保湿剤の有効性を客観的に評価するために,健康成人に作製した人工的乾燥皮膚及びアトピー性皮膚炎患者の乾燥皮膚に対する保湿剤の効果を,皮膚生理学的パラメーター(角層水分量,経表皮水分喪失量)を指標として比較検討した.人工的乾燥皮膚に対するヘパリン類似物質含有製剤(ヒルドイド<sup>®</sup>ソフト),20%尿素含有製剤(尿素製剤)及びワセリンの保湿効果を,無作為割付によるランダム化比較試験で評価した.乾燥皮膚は,前腕内側部を対象部位として,アセトン/エーテル及び水で処置し作製した.試験薬は,1日1回計3日間塗布し,経日的に角層水分量及び経表皮水分喪失量を測定し,皮膚乾燥度を視診及びマイクロスコープで観察した.その結果,ヘパリン類似物質含有製剤及び尿素製剤は,角層水分量を有意に増加させた.ヘパリン類似物質含有製剤は角層水分量において,ワセリンに比べ有意に高い効果を示し,尿素製剤に比べ乾燥状態をより早く回復させることが示唆された.また,ヘパリン類似物質含有製剤,尿素製剤及びワセリンは,経表皮水分喪失量及び皮膚乾燥度を有意に改善した.次に,アトピー性皮膚炎患者を対象としてその乾燥皮膚に対するヘパリン類似物質含有製剤の保湿効果を検討した.前腕内側部を対象部位として,ヘパリン類似物質含有製剤を1日2回計3週間塗布した.1週間毎に角層水分量及び経表皮水分喪失量を測定し,また皮膚所見を視診で観察し,痒みの程度を問診した.その結果,ヘパリン類似物質含有製剤は,角層水分量及び皮膚所見を有意に改善したが,経表皮水分喪失量及び痒みは改善しなかった.以上より,皮膚生理学的機能異常の改善を目的に使用されているヘパリン類似物質含有製剤,尿素製剤及びワセリンの乾燥皮膚に対する有効性が示され,またヘパリン類似物質含有製剤はアトピー性皮膚炎患者の乾燥皮膚に対しても有効であることが示された.
著者
河村 七美 出光 俊郎 安齋 眞一 岡田 理 窪田 卓 米田 耕造 藤田 幸子 吉村 堅太郎 真鍋 求
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.4, pp.389-397, 2003-03-20 (Released:2014-12-13)

組織切片から虫体を同定し得た幼虫皮膚爬行症2例を報告し,その2例を含む当教室における過去6年間の幼虫皮膚爬行症28例について臨床統計学的検討を行った.1995年4月から2001年3月までの6年間の当教室における幼虫皮膚爬行症患者は28例で,初診時年齢27歳から76歳(平均50歳),男女比は4:3(男16例,女12例)であった.発症時期は28例中25例が10月から1月の秋冬期であり,これは八郎潟のシラウオ漁解禁の時期にほぼ一致している.食歴では28例中21例(75%)で八郎潟産のシラウオ生食が認められた.以上のように発症時期や食歴より秋田県における幼虫皮膚爬行症は,その感染源として今まで報告の少ない八郎潟産のシラウオが関与していると推測される.
著者
夏秋 優
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.116, no.14, pp.2259-2264, 2006-12-20 (Released:2014-12-10)

皮膚疾患を引き起こす有害動物はきわめて多い.これらの有害動物がヒトの皮膚に対して,刺咬,吸血,接触によって有毒成分や唾液腺成分を侵入させることで,刺激性,あるいはアレルギー性の非感染性炎症反応を惹起する.また,寄生虫の侵入,あるいは有害動物の媒介によって感染した病原微生物に対して,感染性の炎症反応を生じる.これらの疾患に対して適切な診断を下すには,個々の有害動物の分布や生息環境,生態などを熟知しておく必要がある.本稿では有害動物による皮膚病の概略を把握するため,皮膚疾患を引き起こす主な有害動物とその病害について簡潔に解説した.
著者
猪又 直子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.3, pp.491-497, 2021-03-20 (Released:2021-03-20)
参考文献数
26

近年,食物アレルギーの発症機序において経皮感作の重要性が認識されてきた.これまでに報告された経皮感作型食物アレルギーは5つに大別することができる.すなわち,(1)アトピー性皮膚炎乳児に発症する食物アレルギー,(2)美容性,(3)職業性,(4)動物刺咬傷によるもの,(5)動物飼育によるものである.前3者の感作源は食品やその成分であるのに対し,後2者は生きた動物由来の成分であり,食品との交差反応によって食物アレルギーが誘発される.
著者
日野 治子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.122, no.10, pp.2459-2470, 2012-10-20 (Released:2014-11-13)
被引用文献数
1

皮膚科医が校医として学校保健の場に入っていくのはなかなか難しい.幼小児期から皮膚科医が接触介入することで,皮膚疾患を早期発見し,早期治療が望ましいことは言うまでもないが,校医としての立場を得にくい現場では容易ではない.学校生活は学校保健安全法で様々に規定されている.学校感染症の管理は学校生活を滞りなく過ごさせるのに必要なことであり,アレルギーを持つ学童・生徒の管理,性感染症の問題など,今後皮膚科医が関わらねばならない問題に関して,いくつか取り上げる.
著者
岡 恵子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.12, pp.2323-2327, 2009-11-20 (Released:2014-11-28)

昆虫による皮膚疾患には刺咬症,体液による接触皮膚炎,真性皮膚寄生などがある.刺咬症は吸血時に口器から注入する唾液や,毒針(毛)から注入する毒に対するアレルギー反応で,口器や針の物理的刺激や唾液や毒の薬理作用が複合して発症する.原因となった虫が特定できない場合が多く,皮疹の性状,分布,発症時期,場所などの臨床症状から原因虫を推定して診断し,昆虫の生態を理解したうえで生活指導をする必要がある.
著者
田村 暢子 石井 則久
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.115, no.14, pp.2405-2407, 2005-12-20 (Released:2014-12-10)
被引用文献数
3

高齢の疥癬患者16例(平均年齢82.8歳,入院14例・外来2例)にイベルメクチン内服治療を行い,有効性と安全性を検討した.1回投与量200 μg/kgを1週間間隔で2回投与し,初回投与から3週間後に効果判定した.併用外用剤はレスタミン軟膏(頓用)のみとした.途中脱落・中止の3例を除いた13例中11例が治癒した.また,投与前後での血液生化学検査所見に異常を認めなかった.副作用は下痢1例,中毒疹1例で共に一過性で軽症であった.8例については4カ月後までに再発を認めなかった.以上よりイベルメクチン内服は高齢者においても有効性と安全性の高い治療であると考えられた.
著者
正木 太朗
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.127, no.13, pp.2785-2789, 2017-12-20 (Released:2017-12-20)
参考文献数
16

顔面や手背などの日光曝露部に限局した皮疹を認めた場合,まず光線過敏症が疑われる.降圧薬などの薬剤を内服していないか,発症時期や家族歴などを問診することにより種々の疾患が鑑別される.病院における検査で非常に大切なのが,UVA,UVBや可視光による光線テストであり,遺伝子検査を含めた血液検査を参考にしながら診断につなげていく.治療としては遮光が大切であるが,皮膚科医が積極的に病態の作用波長を探していくことが,誤った遮光指導や,患者本人による過度な遮光を防ぎ,患者のQOL低下を防ぐことにつながる.
著者
西井 貴美子 山田 秀和 笹川 征雄 平山 公三 磯ノ上 正明 尾本 晴代 北村 公一 酒谷 省子 巽 祐子 茶之木 美也子 寺尾 祐一 土居 敏明 原田 正 二村 省三 船井 龍彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.14, pp.3037-3044, 2009-12-20 (Released:2014-11-28)

大阪皮膚科医会は学校における水泳プール授業時のサンスクリーン剤使用の実態調査を大阪府下の公立学校1,200校を対象に実施したが,結果は約3割以上の学校がサンスクリーン剤使用を禁止または不要としていた.禁止の理由として水質汚染の心配が多数をしめたため,2007年夏に大阪府内の公立中学校14校の協力を得てワンシーズン終了後の水質検査を実施し,プール授業開始直後の水質と比較した.結果は文部科学省の学校環境衛生の基準に定められている6項目(pH,濁度,遊離残留塩素,過マンガン酸カリウム消費量,大腸菌,トリハロメタン)のうち濁度,過マンガン酸カリウム消費量,大腸菌,トリハロメタンに関しては基準値からはずれた項目はなかった.遊離残留塩素,pHについてはサンスクリーン剤使用を自由または条件付許可の学校で基準値より低値を示す傾向にあった.統計的検討はサンプル数,各校の条件の違いでむずかしいが,定期的にプール水の残留塩素濃度を測定,管理し,補給水の追加をすれば紫外線の害を予防する目的でサンスクリーン剤を使用することに問題はないと考える.
著者
峠岡 理沙
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.3, pp.499-504, 2021-03-20 (Released:2021-03-20)
参考文献数
19

食物アレルギーは経口摂取による消化管での感作が主体であると考えられてきたが,近年,皮膚を介してアレルゲンが侵入する経皮感作が注目されている.化粧品は皮膚の汚れを除去し,乾燥を防ぎ,外的刺激から皮膚を保護する働きを有している.その一方で,化粧品に含まれる食物由来成分あるいは食品と共通する成分により経皮感作が生じ,その食物を摂食し,アレルギー症状が出現した症例が報告されている.食物アレルギーの症例を診察する際には,化粧品による経皮感作によって発症した可能性を念頭に置いておく必要がある.
著者
石川 治 西尾 麻由 石渕 隆広
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.12, pp.2595-2604, 2021-11-20 (Released:2021-11-22)
参考文献数
10

コロナワクチン接種後皮膚副反応と診断した22例を臨床的に検討した.患者は20~60歳代,モデルナ社製12例,ファイザー社製10例で,凍瘡型6例はモデルナ社製ワクチン被接種者のみに認められ,接種6~10日後発症していた.麻疹型はモデルナ社製では2~4日後,ファイザー社製では7~22日後,接触皮膚炎型は両社製とも2~8日後であった.10例は副腎皮質ステロイド薬を内服し,22例とも治療開始後1~2週間で軽快した.皮膚副反応に関する正しい情報の発信が求められている.
著者
千貫 祐子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.3, pp.505-509, 2021-03-20 (Released:2021-03-20)
参考文献数
17

筆者らは,本邦における獣肉アレルギーの主要な原因抗原エピトープが米国からの報告と同様,糖鎖galactose-α-1,3-galactose(α-Gal)であることをつきとめた.さらに,マダニ唾液腺中に糖鎖α-Galを証明し得たことにより,本邦における獣肉アレルギーの感作原因がマダニ咬傷であることが推察された.獣肉アレルギー患者は,交差反応のために,カレイ魚卵や抗悪性腫瘍薬のセツキシマブに対してもアナフィラキシーを発症する.後者では死亡例も発生しており,我々臨床医は,マダニ咬傷による糖鎖抗原感作から生じる多彩なアレルギーに留意しなければならない.

19 0 0 0 梅毒

著者
大里 和久
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.11, pp.1709-1713, 2007-10-20 (Released:2014-12-03)
被引用文献数
1

梅毒患者は近年減少している.一般に遭遇するのは偶然の機会に発見される潜伏梅毒患者である.これらは抗梅毒抗体を調べる梅毒血清反応検査によって診断される.治療はペニシリン剤の内服を行う.ペニシリンアレルギーにはビブラマイシン,ミノマイシン,テトラサイクリン,アセチルスピラマイシンなどを用いる.治癒判定はSTS抗体価の1/4以上の低下をもって行う.治療後ある程度の抗体が残存するのは免疫の面から望ましい.HIV感染者に梅毒検査陽性者が多いので,梅毒患者に抗HIV抗体検査を勧奨することが重要である.

19 0 0 0 梅毒

著者
立花 隆夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.7, pp.1389-1393, 2011-06-20 (Released:2014-11-13)

梅毒はこれまで治療しないと治らない疾患とされていたが,最近では治療をしなくともその多くは自然治癒すると考えられるようになった.その臨床経過は一定ではなく,必ずしも第1期潜伏,第1期顕症,第2期潜伏,第2期顕症というような経過はとらない.また,STSのガラス板法や梅毒トリポネーマ抗原法のTPHAの代わりに,最近は検査技師の判定を必要としない自動分析システムによる梅毒検査を採用する病院や施設が多くなっている.