著者
川崎 志保理
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.16-20, 2011

最近, 裁判外紛争解決 (Alternative Dispute Resolution;ADR) という言葉を耳にするようになってきています. これは, 医療機関側が紛争解決に向けて行う方策の一つと理解してもらうとわかりやすいと思います.ADR (Alternative Dispute Resolution) は文字通り裁判以外の紛争解決手段の総称であり, 通常は「第三者機関による紛争解決制度」を意味します. 多くの施設では「院内ADR」とか「院内メディエーション」という言葉を使用しています.ADRを行うにあたりまして, 必要なことは第三者的に医療機関側と患者側の間に立って双方の言い分をコントロールする人の存在です.問題は, このようなことをわざわざ第三者としてのADRに依頼しなければならない場合が存在するのはどうしてなのだろうかということにあります. これはADRを要する場合のほとんどが, 患者側の医療機関側への不信感によって生じていることが多いからです.患者クレームに対する初期対応としては, 接遇・マナーを遵守した誠意のある説明を行うことにより, 紛争を未然に予防しながら解決が可能と思われます. 逆に初期対応の失敗により, 感情的対立姿勢が患者側に生じてしまった場合には, 当事者同士での紛争解決は困難であり, ADRを介入しての説明が, 法的手段への訴えを予防できる唯一の手段であるといっても過言ではないと思います.

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