34 0 0 0 OA 女子手淫論

著者
秋元 洗二
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T3, no.493, pp.67-74, 1914-01-25 (Released:2015-06-13)
著者
横山 和正 服部 信孝
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.60, no.Suppl.2, pp.s53-s59, 2014 (Released:2015-02-14)
参考文献数
25

ワクチンというと皆さんはエドワードジェンナーについて学生時代に学んだかもしれません.当時経験的に知られていたのは,牛痘にかかったヒトは天然痘にかからないですむ,もしくは天然痘にかかったとしても死に至らず天然痘感染による症状が軽くすんでいたことから治療への応用が検討されました.他の医師が行った実験治療では多くの死亡事故もあったようです.それを踏まえてジェンナーが行ったのは,天然痘予防のためのウシ天然痘(牛痘)のヒトへの接種実験でした.現在ワクチンという呼び名で一般化したこの試みは見事に成功し数多くの人命が救われ,184年後の1980年5月,WHO(世界保健機関)は天然痘の根絶を宣言しました.このようにワクチンは正しく使用すれば効果も高く,社会に貢献するのはあきらかですが例外もあります.本日参加された皆さんはワクチンの適応,時期,その限界や副作用についてもよく知っておく必要があると思います.繰り返しになりますが,ワクチンに限らず万人に対して同じ作用・効果を起こす薬剤は存在しませんし,個々のワクチン接種時の免疫状態によって効果や副作用が変化する可能性もあるのです.またご自身,家族,友人,会社,村,市,地方,県,国,世界と接種対象のスケールアップに伴いワクチンの主たる目的も変わってきます.ワクチンはもともと個人の体内に存在していない異物(非自己)を,皮下,筋肉注射,静脈注射,経鼻,経口ルートから投与し,個人のもつ免疫能を強制的に賦活させるものです.よって,場合によっては死に至るような重篤な副作用を起こす可能性が常にあります.今回の公開講座は広くワクチンの特集であり,他の演者からすでにそれぞれの分野における最新の報告が行われてきたかと思いますが,私の講演ではインフルエンザワクチンにより起こりうる神経系の副作用についてまずお話をします.また,最近話題になっている子宮頸癌ワクチンと神経系への副作用,さらには私の主たる研究である多発性硬化症のワクチンを利用した免疫治療が歴史的にどのように行われてきたかについて述べ,日本でも増加しているアルツハイマー病に対してのワクチンによる免疫治療とその誤算,最後に今後日本でもますます増えるであろう様々なワクチンにどう向き合うかの基本姿勢についてまとめて述べます.自己を病気から守るためには非自己である感染のみならず,自己に対しての過剰反応である免疫現象を理解することが必要不可欠なのです.
著者
新井 貴博
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.512-520, 2011-10-31 (Released:2014-11-11)
参考文献数
13

目的: 従来, 水音, 冷水, 特定空間 (たとえば電車の中) などの, 聴覚, 触覚, 視覚刺激により, 尿意切迫感が起こることがあることは経験的に知られていた. 本研究では, 過活動膀胱 (overactive bladder: OBA) 患者を対象に, 聴覚刺激 (水音) が尿意に及ぼす影響を, 自覚症状と膀胱内圧測定により明らかにすることを目的とした. 対象: 2009年6月から2010年12月までの間に順天堂医院を受診した患者で, 尿意切迫感を訴え, OBAの症状診断基準を満たす57例を対象とした. 方法: 被験群50例では刺激のない状態と聴覚刺激下の2回, 対照群7例では刺激のない状態で2回, それぞれ膀胱内圧測定を施行し, 初発尿意時膀胱容量 (volume at FDV without auditory stimulation: vFDVa-), 最大尿意時膀胱容量 (volume at MDV without auditory stimulation: vMDVa-), 初発尿意時から最大尿意時までの時間 (time to urgency: tURG) を測定した. 聴覚, 触覚, 視覚刺激による症状誘発の有無について問診し, 過活動膀胱症状スコア (Overactive bladder symptomscore: OABSS), 国際前立腺症状スコア (International prostate symptom score: IPSS) は, 質問票により回答を得た. 結果: 被験群の26%が水音による尿意切迫感を覚えると回答した. また膀胱内圧測定では, 被験群で, 聴覚刺激 (水音) 下でのvFDVa-, vMDVa-, tUGRが, 刺激のない状態と比べて有意に減少していた. 水音によるtURGの変化率は, 被験群の74%で減少し, vFDVa-およびIPSSと強い相関を認めた. 結語: OABでは, 聴覚刺激 (水音) により尿意切迫感を覚える例が, 一般人口を対象とした報告に比べて多くみられた. また膀胱内圧測定で, 聴覚刺激 (水音) によりtURGの減少を認めることが, OABの有用なsurrogate markerとなるか, 今後検討が必要と考えられた.
著者
水野 優起
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.437-442, 2006-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
5

いわゆる“シミ”とは, 主にメラニン色素の増加によって起こる色素異常症 (色素沈着症) を指すことが多い. 発症機序の面から考えるとシミは, メラノサイトが後天性に外的・内的な影響を受けメラニン産生が増加する状態であると定義される. それはメラニン産生とメラニン消化のバランスの上に生じており, メラニンの表皮でのin (産生) とout (排出) のバランスが崩れた状態であると考えられる. 一方シミはその病態生理により, 大きく以下の3つに分類できる. (1) メラノサイトの異常が原因のシミ: 肝斑・雀卵斑, (2) ケラチノサイトの異常が原因のシミ: 日光黒子・脂漏性角化症, (3) 炎症後色素沈着: 色素沈着性接触皮膚炎・固定薬疹. これら (1) - (3) は, 発生までの過程に差はあるものの, 臨床的に色調や形態などに大きな差はない. つまり,“シミ”を主訴に来院された患者でも, 個々の症例により存在するシミの種類は様々で, 当然のことながらシミの種類により効果的な治療法が異なってくるので注意が必要である. シミの治療には簡便にできる外用薬や内服薬のほかに, 理学療法 (イオントフォレーシス・凍結療法) や光を用いた治療法 (レーザー・IPL; Intense Pulsed Light) などが存在する. 実際のシミ治療の際, これらの治療法は単独で, 時に複数の治療法をコンビネーションして行われるが, 前述のようにシミには様々な種類があるので, まず症例ごとに適切な診断がなされた上で, 効果的なシミ治療が行われるべきである.
著者
小川 鼎三
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.407-414, 1972
著者
直居 豊
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.602-609, 2011-12-31 (Released:2014-11-11)
参考文献数
26

2011年3月11日に起きた東日本大震災は福島原発の2次災害を引き起こし, 結果として放射線について日本人すべてがあらためて考えさせられる事態となった. この放射線災害は近隣の住民のみならず, 被曝した食材などが日本全国に流通されたことから全国的な問題となっている. 結果として多くの国民が放射線に怯えることとなったが, その最大の理由は正確な情報や知識が流布されないまま放射線という目にみえない威力と恐怖が全国的に拡大したためである. われわれ放射線科医は常に放射線と接して仕事をしてきており放射線のよさ, こわさも理解しているつもりであるし, 常に放射線被曝を減らす努力も忘れないように教育されてきた. しかしわれわれ職業人以外はほとんど放射線について教育される機会も興味も少なかったと思われる. 通常職業人として放射線を扱う者には年1回の放射線安全教育が厚生労働省から義務づけられており, 順天堂でも必ず年1回安全教育が行われてきた. しかし必ずしも出席者は多いとはいえず, あまり身近なこととは理解されていなかったように思う. 今の時期こそ医療従事者として放射線について今一度考えるよい機会と思われる. 本稿では医療従事者として知っておくべき放射線の知識と福島の原発災害関連での実被害, 風評被害の一部について解説する. またより広い視野で放射線について考えてもらうために自然放射線や職業被曝, 医療被曝についても概説する.
著者
酒井 シヅ
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.112-119, 2013

順天堂三代目堂主・佐藤進は明治時代, 日本でもっとも有名な医師であった. 進は明治2年 (1869), パスポート第1号をもって明治7年 (1874) までドイツに留学, アジア人として最初にベルリン大学医学部卒業生となり, 医学博士号を取得して帰国. この間, 家族との往復書簡が残る. それと進の自伝をもとに, 進の留学生活を述べた.
著者
石島 旨章 久保田 光昭 寧 亮 劉 立足 金子 晴香 二見 一平 定月 亮 羽田 晋之介 ANWARJAN YUSUP 清村 幸雄 平澤 恵理 斎田 良知 高澤 祐治 池田 浩 黒澤 尚 金子 和夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.138-151, 2013-04-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
37
被引用文献数
7 3

運動器障害によって介護が必要な状態や要介護リスクの高い状態を表す「ロコモティブシンドローム (ロコモ, 運動器症候群) 」が提唱され, 変形性膝関節症 (knee osteoarthritis, 以下, 膝OA) はその代表疾患である. 膝OAは, 関節軟骨の変性と摩耗を病態の首座に, 関節内構造体である滑膜や軟骨にも障害が及び, 関節の形態と機能を障害し, 歩行時痛などにより移動能力が障害され, 最終的には生活の質 (activity of daily living;ADL) を著しく低下させる, 緩徐であるが進行性の疾患である. その罹患患者数は, 超長寿化を迎えた本邦において約2,500万人にものぼり, そのうち約800万人が膝痛と共存しながら過ごしている. 近年, 病態については, 従来のリスク因子に加えてメタボリック症候群の罹患との強い相関などが明らかとなっている. また, このように高い罹患率にもかかわらず, 日常臨床ではその診断や治療効果の判断を, 単純X線にのみ頼っているが, MRIや関節マーカーを用いることで, 病態の把握が進み, さらに, 臨床現場においても医療者に患者情報の増大をもたらす可能性を秘めている. 数ある治療法のなかに疾患修飾型治療法は存在せず, すべて疼痛緩和を目的とした症状緩和型治療法でしかない. 近年, 膝OAに対する薬物治療に, 弱オピオイドが使用可能となり, 治療選択肢が広がった. また, 外科的治療法では, 膝OAに対する関節鏡下手術の無効性が明らかとなる一方, 人工膝関節置換術の術後成績は飛躍的に向上している. さらに, 脛骨高位骨切り術に用いる内固定材の進歩により, その適応と信頼性が高まっている. したがって, 外科的治療法にも選択肢の幅が広がり, ADL低下を招くほどの末期膝OAにおいては, 不必要に保存療法を長引かせることなく, 外科的治療法を選択すべきである. しかし, 現時点では各種治療法の重症度別の使い分けなどは定まっておらず, エビデンスに基づいた治療法の選別と秩序だった使用方法の確立が求められている.
著者
鈴木 大地 松葉 剛 稲葉 裕 白石 安男
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.415-426, 2006-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
44

目的: 近年プールを設置する自治体が増えており, 水泳や水中運動を健康づくり事業に取り入れるケースも増えている. 当研究は水泳や水中運動がどのように住民の生活習慣や健康状態に影響しているかを調べることを目的に行った. 方法: 2004年K市において健康関連イベントおよびこれまで水泳. 水中運動事業に参加している257名を対象に質問紙による調査および血圧, 内臓周囲脂肪, 血液生化学データ (血算, 肝機能, 血清脂質, 血糖) の測定を行った. 結果と考察: 対象者を運動習慣により〈水中運動群〉〈水中運動以外の運動群〉〈運動習慣のない群〉の3群に分け, 心理的要因, 食事, 血液生化学検査を含む身体的要因について分布の差について調べた. 心理的要因については, 健康状態や生活満足度, 幸福感をたずねた質問では良好であるとの回答が水中運動群および水中運動以外の運動群に多く統計学的有意差が認められた (p<0.01). また食習慣的要因では水中運動群および水中運動以外の運動群で〈塩辛い食事〉を好まない傾向が認められた (p<0.05). 血液生化学データのうちHDLコレステロールの値について水中運動群と水中運動以外の運動群, および水中運動群と運動習慣のない群の間に有意差を認め, いずれも水中運動群が高値を示した (水中運動群73.2mg/dl, 水中運動以外の運動群63.2mg/dl, 運動習慣のない群63.2mg/dl, いずれもp<0.01). その他, 収縮期血圧において同様に水中運動群と水中運動以外の運動群, および水中運動群と運動習慣のない群の間に有意差を認め, いずれも水中運動群が低値を示した (水中運動群73.3mmHg, 水中運動以外の運動群78.1mmHg, 運動習慣のない群79.4mmHg, いずれもP<0.01). また健康な生活に与える影響について他の生活習慣との関わりを知るために, 因果モデルを作成し共分散構造分析にて分析を行った. その結果, 定期的な運動習慣のなかでも水中運動が, 健康な生活との間により強い関連があることが示された.

6 0 0 0 OA 寒燈夜話

著者
竹孫 閑人
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T5, no.517, pp.73-76, 1916-01-25 (Released:2015-06-13)
著者
野島 美知夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.21-30, 2013-02-28 (Released:2014-11-26)
参考文献数
34

近年, 子宮頸がんは40歳以下の若年者に増加してきています. それは子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス (HPV) が蔓延していることが考えられます. 子宮頸がんの原因がHPVであるということがわかったことにより, 予防ワクチンが開発されました. 現在は2種類, 2価ワクチン, 4価ワクチンが承認され使われています. それぞれのワクチンで特徴をもっていますが, このワクチンですべての子宮頸がんが予防できるわけではありません. 国, 自治体の努力により中学1年生から高校1年生まで公費接種が受けられるようになり, その接種率は70-80%に達している地域もあります. 一方, この世代以上の接種率はまだまだ低く1-2%といわれており, 積極的な接種の働きかけが必要と思われます. 二次予防である子宮頸がん検診も重要です. 近年, 欧米ではこの検診にHPV検査が併用されるようになり効果を上げ, 検診のシステムも新しく考えられています. 日本ではがん検診におけるHPV検査の導入はまだですが子宮頸がんの原因がHPVであることがわかっている以上は, 近い将来導入されると思われます. 一次予防としてのHPVワクチン接種, 二次予防としての子宮がん検診, この2つがうまく重なることによって子宮頸がん撲滅への道が初めて開かれると考えられます.
著者
渡部 幸司 長岡 正範
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.29-36, 2010-02-28 (Released:2014-11-21)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

リハビリテーションの分野で電気刺激療法は, 従来, 鎮痛や筋力強化などの目的で使用されているが, 有効性がほとんど証明されていない. 今回, 電気刺激療法の有効性が認められない理由, さらに新しく開発された方法を紹介し, 今後の展望について検討した. 電気刺激療法は, 対象や刺激条件がさまざまであるため, 目標別の刺激条件を概説した. 従来は, 神経・筋に対する治療法がほとんどであったが, 近年, それ以外にも糖輸送体タンパク質増加, 血管新生や血流増加なども報告されている. 神経・筋に対する治療法では, 電気刺激による筋収縮が生理的な筋収縮とは違うという問題点がある. それに対し, 新しい方法であるハイブリッド訓練法と随意運動介助型電気刺激装置は, 随意運動と同時に行うことで, 生理的な筋収縮も得る方法である. 今後, 電気刺激療法を他の運動療法と併用することなどで, さらに発展が期待できる.
著者
黒崎 碧 田中 恭子 江原 佳奈 清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.490-495, 2013 (Released:2014-05-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的:被虐待児における認知および精神症状の特性について検討する.方法:当院を受診した被虐待児21例を対象に,臨床所見および心理検査所見を考察し,その特性につき検討を行った.結果:被虐待児の精神症状として,境界域知能,多動,衝動性,言語社会性の遅れなどがみられ,認知機能は偏りが大きく,特に習得度が低く,同時処理能力優位である傾向にあった.また,虐待の原因として考えられた要因には患児自身の疾病,養育者側の経済的問題や心身の疾患が存在するケースがみられた.結論:虐待の長期化は,子どもの発達を著しく阻害し,脳へのダメージも大きいといわれており,その後遺症として,発達障害に酷似した症状を引き起こすといわれる.虐待の早期発見と適切な介入等,長期的な心理社会的支援などの確立が急がれる一方で,虐待の影響が発達期の脳発達に及ぼす影響をさらに多角的に検討を深め,多様性に富む臨床像に対する支援の方向性を見出す必要性があるものと思われた.
著者
関谷 充晃
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.240-244, 2009-09-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
16

1972年以降, わが国では不活化インフルエンザワクチンであるHAワクチンが汎用されています. 通常, A型のウイルス株2種類 (H1N1, H3N2) とB型1種類のいずれの型にも効果があるとされています. ワクチン接種により, インフルエンザによる重篤な合併症や死亡のリスクが軽減することが期待されますが, 現在までその有効性に一定の見解がなく, 予防接種法などの法制度上のワクチンの位置づけも変遷してきました. その有効率は, 被接種者の背景によって異なります. 65歳以上の健常高齢者については約45%の発症を予防, 約80%の死亡を回避し, 60歳以下の健常成人では70-90%の罹患を予防したと報告されています. 一方, 1歳以上6歳未満児については, 発熱を指標とした有効率は20-30%で有効と結論しています. ワクチンの有効率は, 本邦と米国での報告はおおむね合致しており, インフルエンザの発症予防の上で, ワクチンが有効と結論づけうる結果といえます. 現行のワクチンの問題点としては, 年齢によっては安定して抗体を誘導できないこと, 現在の皮下注射型ワクチンでは気道粘膜に初期の感染成立を抑えるIgA抗体を誘導できないこと, 接種による副反応が実際には高頻度にみられること, などが挙げられます. ワクチンは今後もインフルエンザの発症予防の大きな柱であり, これらの問題点が解決された有効かつ安全なワクチンの開発が望まれます.

5 0 0 0 OA 医学の歴史

著者
小川 鼎三
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.401-403, 1972-09-10 (Released:2014-11-22)
著者
小川 鼎三
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.29-33, 1969 (Released:2014-11-22)
著者
内藤 俊夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.397-402, 2012-10-31 (Released:2014-11-11)
参考文献数
9

感冒は患者が外来を受診する理由で最も多く, その診療に要する医療資源は莫大な量である. インフルエンザは世界的な大流行を繰り返し, 多くの患者の命を奪っている. インフルエンザに対してはワクチンを用いた適切な予防が重要であるが, 本邦では必ずしも徹底されていない. 感冒・インフルエンザ患者に対する抗菌薬の乱用は, 耐性菌・副作用・医療費において大変な問題である. また, 世界規模でオセルタミビル (タミフル®) 耐性株が出現しているほか, オセルタミビルの治療効果を疑問視する発表も相次いでいる. これらのことから, 感冒・インフルエンザの治療における漢方薬の使用が注目されている. 西洋薬と違い漢方薬では, 急性期のみならず亜急性期・慢性期の症状改善にも有効であることが特徴である. 近年, 漢方薬を用いた臨床試験の報告も増えている. われわれはインフルエンザ患者に対する麻黄湯のランダム化比較試験を行ったが, これによると麻黄湯ではオセルタミビルなどの抗ウイルス薬と同等の効果が得られた. また, 漢方薬の中にはサイトカインの調節に役立つものがあり, インフルエンザ肺炎やインフルエンザ脳症の治療への活用が期待される.
著者
山城 雄一郎
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.25-34, 2014
被引用文献数
1

近年,細菌の検索に導入された菌の遺伝子DNAやリボゾーム16SrRNAをターゲットにした分子生物学的手法の普及により,ヒトの腸内細菌の動態が,培養不可でそれまで知りえなかった菌も含め,より詳細に明らかになってきた.ヒト成人の腸内細菌には,約500~1,000種,100兆個の菌が生着し,その構成の割合は食事(栄養)の影響を受けて生涯を通して変化し,また内的,外的な両方の環境の変動にも修飾されて敏感に反応する.腸内細菌構成菌の変動は,分子シグナルを介して宿主の代謝と免疫など,生理,生化学的機能に影響し,宿主の健康と病的状態に密接に関係する.胎児期に無菌の腸管は,出産時に産道を通過する際に母親から菌を獲得し腸管内へ生着が開始する.母乳栄養児では生後3ヵ月頃までにBifidobacteria優位の菌叢になり,生後6ヵ月頃には全体の90%以上を占めるようになる.しかし離乳食の導入に伴い,人工栄養児のそれと次第に差異は縮小する.他方未熟児は帝王切開(帝切)で出産する例が多く,母親から出産時に菌を獲得する機会を逸し,NICU等の環境から得る菌が最初に腸管へ生着する結果,腸内細菌構成の異常(dysbiosis)を生じ,新生児期の感染や壊死性腸炎(NEC)等の病的潜在リスクとなる.いわゆる善玉菌の腸内細菌,特にBifidobacteriaは,消化吸収,免疫を含む腸管防御等の腸管機能や解剖学的発達,成長に重要な役割を果たす.腸内細菌と食事(栄養)は,相互に密接な関係を有する.食習慣は腸内細菌構成に影響を与え,蛋白質や動物性脂肪(高飽和脂肪酸)の食事摂取が多いとEnterobacteriaceae(Preteobacteria)の割合が多く,高炭水化物食はPrevotellaが増加する.腸内細菌は,食事中の難消化性炭水化物(食物繊維)を代謝,発酵し短鎖脂肪酸(SCFs)の酢酸,プロピオン酸,酪酸を主として産生する.酢酸とプロピオン酸は宿主の,酪酸は直腸上皮細胞それぞれのエネルギー源となる.また,腸内細菌は胆汁酸代謝,食事由来のcholine代謝に関与し,前者は脂質代謝や糖代謝,後者は動脈硬化の進展に関係する.世界的な流行の様相を呈する肥満の元凶は,近代の社会環境の変化に基因したエネルギー摂取と消費のアンバランス,すなわち "西洋食" と称される高カロリー,高(飽和)脂肪食の摂取にある.高カロリー,高脂肪食はFirmicutes, Proteobacteriaの増加,Bacteroidetesの減少など,腸内細菌構成の異常dysbiosisを招く.これらの増加した菌はエネルギー産生や抽出能が高く,宿主の脂肪組織を増加させる.さらに細胞毒性かつ炎症惹起作用のあるリポポリサッカライドを産生し血中に吸収され(endotoxemia),軽度でしかし慢性の炎症を生じる.そのため,炎症性サイトカインが分泌され,インスリン抵抗性の原因となる.インスリン抵抗性が長期化すると2型糖尿病(T2DM)やその他のメタボリック症候群の高リスク因子となる.共同研究者の佐藤淳子ら(順天堂大学代謝内分泌科)は,T2DM患者の腸内細菌が健常者のそれと異なり,その20数%で菌血症を伴うことを世界で初めて発表した.腸内細菌の異常は毒性のある二次胆汁酸産生を増加し,肝に運ばれ肝細胞癌の発症の原因になることをがん研究会の大谷らは報告している.大腸癌の一部も二次胆汁酸がその発症に関与していることが示唆される.腸内細菌と宿主の免疫,代謝等の密接な関係から,腸内細菌のdysbiosisが宿主の健康と疾病に影響を及ぼす学術的エビデンスが近年急速に蓄積されてきている.これに伴いProbioticsによる健康管理,疾病の予防や治療をも見据えた研究も活発になり,近い未来の医療に大きなインパクトを与えるものと期待される.