31 0 0 0 OA 女子手淫論

著者
秋元 洗二
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T3, no.493, pp.67-74, 1914-01-25 (Released:2015-06-13)
著者
横山 和正 服部 信孝
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.60, no.Suppl.2, pp.s53-s59, 2014 (Released:2015-02-14)
参考文献数
25

ワクチンというと皆さんはエドワードジェンナーについて学生時代に学んだかもしれません.当時経験的に知られていたのは,牛痘にかかったヒトは天然痘にかからないですむ,もしくは天然痘にかかったとしても死に至らず天然痘感染による症状が軽くすんでいたことから治療への応用が検討されました.他の医師が行った実験治療では多くの死亡事故もあったようです.それを踏まえてジェンナーが行ったのは,天然痘予防のためのウシ天然痘(牛痘)のヒトへの接種実験でした.現在ワクチンという呼び名で一般化したこの試みは見事に成功し数多くの人命が救われ,184年後の1980年5月,WHO(世界保健機関)は天然痘の根絶を宣言しました.このようにワクチンは正しく使用すれば効果も高く,社会に貢献するのはあきらかですが例外もあります.本日参加された皆さんはワクチンの適応,時期,その限界や副作用についてもよく知っておく必要があると思います.繰り返しになりますが,ワクチンに限らず万人に対して同じ作用・効果を起こす薬剤は存在しませんし,個々のワクチン接種時の免疫状態によって効果や副作用が変化する可能性もあるのです.またご自身,家族,友人,会社,村,市,地方,県,国,世界と接種対象のスケールアップに伴いワクチンの主たる目的も変わってきます.ワクチンはもともと個人の体内に存在していない異物(非自己)を,皮下,筋肉注射,静脈注射,経鼻,経口ルートから投与し,個人のもつ免疫能を強制的に賦活させるものです.よって,場合によっては死に至るような重篤な副作用を起こす可能性が常にあります.今回の公開講座は広くワクチンの特集であり,他の演者からすでにそれぞれの分野における最新の報告が行われてきたかと思いますが,私の講演ではインフルエンザワクチンにより起こりうる神経系の副作用についてまずお話をします.また,最近話題になっている子宮頸癌ワクチンと神経系への副作用,さらには私の主たる研究である多発性硬化症のワクチンを利用した免疫治療が歴史的にどのように行われてきたかについて述べ,日本でも増加しているアルツハイマー病に対してのワクチンによる免疫治療とその誤算,最後に今後日本でもますます増えるであろう様々なワクチンにどう向き合うかの基本姿勢についてまとめて述べます.自己を病気から守るためには非自己である感染のみならず,自己に対しての過剰反応である免疫現象を理解することが必要不可欠なのです.
著者
新井 貴博
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.512-520, 2011-10-31 (Released:2014-11-11)
参考文献数
13

目的: 従来, 水音, 冷水, 特定空間 (たとえば電車の中) などの, 聴覚, 触覚, 視覚刺激により, 尿意切迫感が起こることがあることは経験的に知られていた. 本研究では, 過活動膀胱 (overactive bladder: OBA) 患者を対象に, 聴覚刺激 (水音) が尿意に及ぼす影響を, 自覚症状と膀胱内圧測定により明らかにすることを目的とした. 対象: 2009年6月から2010年12月までの間に順天堂医院を受診した患者で, 尿意切迫感を訴え, OBAの症状診断基準を満たす57例を対象とした. 方法: 被験群50例では刺激のない状態と聴覚刺激下の2回, 対照群7例では刺激のない状態で2回, それぞれ膀胱内圧測定を施行し, 初発尿意時膀胱容量 (volume at FDV without auditory stimulation: vFDVa-), 最大尿意時膀胱容量 (volume at MDV without auditory stimulation: vMDVa-), 初発尿意時から最大尿意時までの時間 (time to urgency: tURG) を測定した. 聴覚, 触覚, 視覚刺激による症状誘発の有無について問診し, 過活動膀胱症状スコア (Overactive bladder symptomscore: OABSS), 国際前立腺症状スコア (International prostate symptom score: IPSS) は, 質問票により回答を得た. 結果: 被験群の26%が水音による尿意切迫感を覚えると回答した. また膀胱内圧測定では, 被験群で, 聴覚刺激 (水音) 下でのvFDVa-, vMDVa-, tUGRが, 刺激のない状態と比べて有意に減少していた. 水音によるtURGの変化率は, 被験群の74%で減少し, vFDVa-およびIPSSと強い相関を認めた. 結語: OABでは, 聴覚刺激 (水音) により尿意切迫感を覚える例が, 一般人口を対象とした報告に比べて多くみられた. また膀胱内圧測定で, 聴覚刺激 (水音) によりtURGの減少を認めることが, OABの有用なsurrogate markerとなるか, 今後検討が必要と考えられた.
著者
水野 優起
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.437-442, 2006-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
5

いわゆる“シミ”とは, 主にメラニン色素の増加によって起こる色素異常症 (色素沈着症) を指すことが多い. 発症機序の面から考えるとシミは, メラノサイトが後天性に外的・内的な影響を受けメラニン産生が増加する状態であると定義される. それはメラニン産生とメラニン消化のバランスの上に生じており, メラニンの表皮でのin (産生) とout (排出) のバランスが崩れた状態であると考えられる. 一方シミはその病態生理により, 大きく以下の3つに分類できる. (1) メラノサイトの異常が原因のシミ: 肝斑・雀卵斑, (2) ケラチノサイトの異常が原因のシミ: 日光黒子・脂漏性角化症, (3) 炎症後色素沈着: 色素沈着性接触皮膚炎・固定薬疹. これら (1) - (3) は, 発生までの過程に差はあるものの, 臨床的に色調や形態などに大きな差はない. つまり,“シミ”を主訴に来院された患者でも, 個々の症例により存在するシミの種類は様々で, 当然のことながらシミの種類により効果的な治療法が異なってくるので注意が必要である. シミの治療には簡便にできる外用薬や内服薬のほかに, 理学療法 (イオントフォレーシス・凍結療法) や光を用いた治療法 (レーザー・IPL; Intense Pulsed Light) などが存在する. 実際のシミ治療の際, これらの治療法は単独で, 時に複数の治療法をコンビネーションして行われるが, 前述のようにシミには様々な種類があるので, まず症例ごとに適切な診断がなされた上で, 効果的なシミ治療が行われるべきである.

5 0 0 0 OA 寒燈夜話

著者
竹孫 閑人
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T5, no.517, pp.73-76, 1916-01-25 (Released:2015-06-13)
著者
黒崎 碧 田中 恭子 江原 佳奈 清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.490-495, 2013 (Released:2014-05-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的:被虐待児における認知および精神症状の特性について検討する.方法:当院を受診した被虐待児21例を対象に,臨床所見および心理検査所見を考察し,その特性につき検討を行った.結果:被虐待児の精神症状として,境界域知能,多動,衝動性,言語社会性の遅れなどがみられ,認知機能は偏りが大きく,特に習得度が低く,同時処理能力優位である傾向にあった.また,虐待の原因として考えられた要因には患児自身の疾病,養育者側の経済的問題や心身の疾患が存在するケースがみられた.結論:虐待の長期化は,子どもの発達を著しく阻害し,脳へのダメージも大きいといわれており,その後遺症として,発達障害に酷似した症状を引き起こすといわれる.虐待の早期発見と適切な介入等,長期的な心理社会的支援などの確立が急がれる一方で,虐待の影響が発達期の脳発達に及ぼす影響をさらに多角的に検討を深め,多様性に富む臨床像に対する支援の方向性を見出す必要性があるものと思われた.
著者
吉田 博
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.529-537, 1982 (Released:2014-11-21)
参考文献数
16

人水晶体が蛍光をもち加齢とともに増強することは良く知られているが, その分布はほとんど報告がない. 今回は蛍光強度および吸収度分布とその特性を正常および老人性核白内障水晶体で検討した結果を報告する. 正常人水晶体と, 混濁と核硬化の程度により分類した老人性核白内障水晶体を0.5mmの薄切り切片として, アミンコ社自記分光光度計と日立社蛍光分光光度計で蛍光および吸収測定を, オリンパス社マルチ測光顕微鏡で蛍光強度分布と吸収度分布をおこなった. 紫外部吸収スペクトルでは正常人水晶体の280nmの吸収極大は, 核白内障進行とともに変化はないが, 340nm-390nmの長波長側に吸収極大が形成された. 励起光395nmにおける蛍光強度も正常人水晶体で示す465nmの極大は, 核白内障形成とともに減少していくと同時にやや長波長の500nmに新しい吸収極大が表われ, 495nmに等放射点を形成した. 励起光400nmにおける蛍光強度は正常水晶体核部から次第に核白内障の進行につれて核部周囲に強く分布した. 紫外部および可視部吸収度分布は核部中心に変化がみられた. 正常人水晶体で低い吸収を示す核部は, 核白内障の進行とともにその吸収度を増し逆に山を形成した.
著者
TAKESHI NARA SACHIO MIURA
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.389-395, 2015 (Released:2015-11-17)
参考文献数
26

Chagas disease, or American trypanosomiasis, is caused by the parasitic protist Trypanosoma cruzi. 10 million people are estimated to live with this disease. Chagas disease is endemic to the Americas, which corresponds to the distribution of the insect vectors, blood-sucking triatomine bugs. The presence of many mammalian species as reservoir hosts and the occurrence of a long asymptomatic phase of infection that may last more than 10 years make control difficult. In the United States, domestic transmissions from triatomines to humans are rarely reported, but it is estimated that there are 300,000 people living with Chagas disease among Latin American immigrants. Patients with Chagas disease are also found outside the Americas, as well as in Japan, via international migration. Thus, there is a growing need to understand the current situation in non-endemic countries in terms of establishing better preparedness against the incursion of Chagas disease.
著者
呉 友慕
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.S11, no.577, pp.577_33-577_37, 1936-12-31 (Released:2015-06-12)
参考文献数
17
著者
原田 静香 杉本 正子 秋山 正子 岡田 隆夫 櫻井 しのぶ
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.480-489, 2013 (Released:2014-05-29)
参考文献数
42

目的:入院中の患者の退院調整において,訪問看護師が病院に出向き,直接退院調整に関与した場合としなかった場合で,在宅移行期に起きた家族介護者の状況の違いについて比較し,検討した.対象:都内急性期病院を退院した65歳以上の在宅療養者を主に介護する家族12名.方法:対象者のうち,入院中に訪問看護師が病院に出向いて行う退院調整を受けて退院した場合を「関与あり群」6名,入院中には訪問看護師の関与がなく病院で通常の退院調整を受けた場合を「関与なし群」6名とした.調査は事例ごとに自記式質問紙および,半構造化インタビューを行った.聞き取った回答は研究者が検討し分類した.退院調整から在宅移行時の経験や思いについては質的帰納的に分析した.結果:①関与なし群では,家族介護者の主観的な健康度が低く,介護負担感が高い傾向があった.②退院調整へ関与した専門職人数は,関与あり群が平均4.3名,関与なし群で平均2.8名であった.関与あり群は,病院と在宅ケア事業者の双方向の関与があったが,関与なし群は在宅ケア事業者の支援が少なかった.③保健・医療・福祉サービスの導入状況では,関与あり群は入院中にサービスの導入が計画され,退院後に追加導入はなかった.一方,関与なし群は退院後に介護力不足が顕在化し,サービスを追加導入していた.④在宅移行時の経験として,関与あり群は訪問看護師の支援に安心感を持ち,介護方法の指導を受け,介護を何とかやっていけると回答した.関与なし群は在宅移行時の不安感と,介護への戸惑いを感じていた.結論:訪問看護師が退院調整に関与した場合,①家族介護者は健康状態の悪化や介護負担の増大を回避できると示唆された.②退院調整に多職種が関与し,地域連携の促進が可能である.③入院中に的確な保健・医療・福祉サービスが導入できることが示唆された.④家族介護者は在宅移行期より安心感をもち,生活状況に合わせた支援が補完され,介護へ適応するための支援が行われていた.訪問看護師の関与のなかった場合は,介護負担が大きく在宅移行期の不安感や介護への戸惑いがみられた.
著者
石島 旨章 久保田 光昭 寧 亮 劉 立足 金子 晴香 二見 一平 定月 亮 羽田 晋之介 ANWARJAN YUSUP 清村 幸雄 平澤 恵理 斎田 良知 高澤 祐治 池田 浩 黒澤 尚 金子 和夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.138-151, 2013-04-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

運動器障害によって介護が必要な状態や要介護リスクの高い状態を表す「ロコモティブシンドローム (ロコモ, 運動器症候群) 」が提唱され, 変形性膝関節症 (knee osteoarthritis, 以下, 膝OA) はその代表疾患である. 膝OAは, 関節軟骨の変性と摩耗を病態の首座に, 関節内構造体である滑膜や軟骨にも障害が及び, 関節の形態と機能を障害し, 歩行時痛などにより移動能力が障害され, 最終的には生活の質 (activity of daily living;ADL) を著しく低下させる, 緩徐であるが進行性の疾患である. その罹患患者数は, 超長寿化を迎えた本邦において約2,500万人にものぼり, そのうち約800万人が膝痛と共存しながら過ごしている. 近年, 病態については, 従来のリスク因子に加えてメタボリック症候群の罹患との強い相関などが明らかとなっている. また, このように高い罹患率にもかかわらず, 日常臨床ではその診断や治療効果の判断を, 単純X線にのみ頼っているが, MRIや関節マーカーを用いることで, 病態の把握が進み, さらに, 臨床現場においても医療者に患者情報の増大をもたらす可能性を秘めている. 数ある治療法のなかに疾患修飾型治療法は存在せず, すべて疼痛緩和を目的とした症状緩和型治療法でしかない. 近年, 膝OAに対する薬物治療に, 弱オピオイドが使用可能となり, 治療選択肢が広がった. また, 外科的治療法では, 膝OAに対する関節鏡下手術の無効性が明らかとなる一方, 人工膝関節置換術の術後成績は飛躍的に向上している. さらに, 脛骨高位骨切り術に用いる内固定材の進歩により, その適応と信頼性が高まっている. したがって, 外科的治療法にも選択肢の幅が広がり, ADL低下を招くほどの末期膝OAにおいては, 不必要に保存療法を長引かせることなく, 外科的治療法を選択すべきである. しかし, 現時点では各種治療法の重症度別の使い分けなどは定まっておらず, エビデンスに基づいた治療法の選別と秩序だった使用方法の確立が求められている.
著者
長岡 功
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.152-162, 2013-04-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
38

変形性関節症 (osteoarthritis;OA) は, 軟骨破壊によって局所の痛みと慢性的に増強する運動機能障害をきたす疾患であり, とりわけ変形性膝関節症 (膝OA) が多い. 近年, 従来の運動療法や薬物による保存的治療に加えて, 軟骨代謝を改善してOAの進行を抑制する構造修飾効果 (structure-modifying effect) または軟骨保護効果 (cartilage protecting effect) をもつ新たな治療法が期待され, その有力な候補としてグルコサミンやコンドロイチン硫酸などいくつかの食品成分が注目されている. 一方, OAの病態を客観的に評価するために様々な関節マーカーが研究されてきたが, 特にII型コラーゲンは関節軟骨に特異的に存在するため, II型コラーゲンの分解・合成をみることは, 関節疾患の病態や, それに対する薬物, 食品の効果をより正確に客観的に評価できると考えられている. そこで, 本稿では, OAの病態変化と関節マーカーによる膝OAの評価について概説し, さらに, 関節マーカーを用いてグルコサミン含有食品の膝OAに対する効果を評価した例について紹介する. そして, グルコサミンが抗炎症作用を示すとともに, 軟骨成分 (グリコサミノグリカン, II型コラーゲン) の分解を抑制する一方で, 合成を促進することによって軟骨保護的に作用する可能性について述べる.
著者
野島 美知夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.21-30, 2013-02-28 (Released:2014-11-26)
参考文献数
34

近年, 子宮頸がんは40歳以下の若年者に増加してきています. それは子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス (HPV) が蔓延していることが考えられます. 子宮頸がんの原因がHPVであるということがわかったことにより, 予防ワクチンが開発されました. 現在は2種類, 2価ワクチン, 4価ワクチンが承認され使われています. それぞれのワクチンで特徴をもっていますが, このワクチンですべての子宮頸がんが予防できるわけではありません. 国, 自治体の努力により中学1年生から高校1年生まで公費接種が受けられるようになり, その接種率は70-80%に達している地域もあります. 一方, この世代以上の接種率はまだまだ低く1-2%といわれており, 積極的な接種の働きかけが必要と思われます. 二次予防である子宮頸がん検診も重要です. 近年, 欧米ではこの検診にHPV検査が併用されるようになり効果を上げ, 検診のシステムも新しく考えられています. 日本ではがん検診におけるHPV検査の導入はまだですが子宮頸がんの原因がHPVであることがわかっている以上は, 近い将来導入されると思われます. 一次予防としてのHPVワクチン接種, 二次予防としての子宮がん検診, この2つがうまく重なることによって子宮頸がん撲滅への道が初めて開かれると考えられます.
著者
鈴木 宏昌
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.520-528, 2010-12-31 (Released:2014-11-21)
参考文献数
54

かつて働き盛りの過労死の死因に急性心筋梗塞が多かったように, ストレスと循環器疾患, 特に虚血性心疾患発症との関連性は大きい. 最近, 心筋梗塞に酷似しているが似て非なるストレス性心疾患が新たにわかった. 家族の突然死や事故遭遇など予期せぬ出来事がストレスとなり, 突如胸痛や息切れを生じ, ST上昇や深い陰性T波, 心筋逸脱酵素上昇を認め, 急性心筋梗塞の疑いで心臓カテーテル検査を行うが冠状動脈は正常で, 左室心尖部が瘤状拡大し, 心基部は過収縮しばしば駆出路狭窄を生じる. 冠状動脈の支配領域に一致しない収縮障害で, 多くは1週間程度で自然回復する. 心筋逸脱酵素上昇は心筋梗塞に比べ軽度である. 本疾患は日本で初めて認識され, 急性期の左室収縮末期像が古来蛸漁で使われた蛸壺の形状に似ており「たこつぼ心筋症」と命名された. 多くが情動ストレスで生じることや閉経期以降の中高年女性に好発することが特徴である. 2004年の新潟中越大地震では震災直後に急増しそのほとんどが女性であった. 予後はおおむね良好であるが, なかには低血圧や心原性ショックを併発する. 気管支喘息重積発作, 肺炎, 重症筋無力症クリーゼ, てんかん発作, 人工透析中や気管内挿管後, 外科周術期など非心臓疾患や侵襲的検査, 治療などの様々な身体的ストレスでも発症する. 原因不明だが, 交感神経系亢進やカテコラミン過分泌の関与が疑われている. まれな疾患とはいえ, 幅広い医療領域で遭遇する可能性があり, まずは本疾患の存在を広く周知することが大切である.
著者
光畑 裕正
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.403-408, 2012-10-31 (Released:2014-11-11)
参考文献数
10

慢性疼痛は複雑な病態を呈し, 治療に難渋することがしばしば見受けられる. 西洋医学的治療で鎮痛が得られない症例で漢方薬が有効なことがある. 抑肝散は抗アロディニア作用があり, 神経障害性疼痛を含む慢性痛に効果がある. 抑肝散は絞扼性神経損傷ラットモデルで抗アロディニア作用を示し, その機序の一つはグルタミン酸トランスポーター活性化によりグルタミン酸濃度を低下させることを筆者らは明らかにした. また慢性痛は冷えを伴うことが多く, 当帰芍薬散, 苓姜朮甘湯, 当帰四逆加呉茱萸生姜湯, 真武湯, 八味地黄丸など冷えを改善する方剤が効果を示す. また慢性痛では気の異常 (気鬱, 気逆, 気虚) を伴うことが多く, 半夏厚朴湯や四逆散, 柴胡疏肝湯など気剤が著効することがある. 慢性疼痛治療の一つの選択肢として漢方は有用である.