- 著者
-
西澤 寛人
住吉 正孝
土屋 洋人
韋 靖彦
圓山 雅巳
岡井 巌
丸山 園美
岡崎 真也
井上 健司
藤原 康昌
- 出版者
- 公益財団法人 日本心臓財団
- 雑誌
- 心臓 (ISSN:05864488)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.3, pp.S3_93, 2009
症例は90歳, 女性. 5年前より発作性心房細動のためベプリジル100mg/日内服していた. 心エコーで基礎心疾患なく心機能は正常範囲内であった. 2007年6月ころより下腿浮腫が出現, 近医よりフロセミド20mg/日の投与を受けていた. 2008年7月ころからふらつきが出現したため当院を受診した. 入院時心電図は心拍数65/分の洞調律, QT時間0.44 (QTc 0.46), V2~4に著明なU波を認めた. 入院後, 多形性心室頻拍 (PVT) が繰り返し出現, 硫酸マグネシウムおよびリドカイン静注によりPVTは抑制された. 血液検査でK 3.4mmol/Lと低カリウム血症を認め, ベプリジルを中止しカリウムを補正した後はPVTの再発はない. ベプリジル投与中のPVT発症には明らかなQT延長を伴わない場合もあり, 血清カリウム濃度には十分に注意する必要がある.