著者
田浦 直
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.296-314, 1969
被引用文献数
1

単極ガラス電極を使用し,正常皮膚表面のpHを測定,統計的考察を加え,つぎのごとき結果をえた。<BR> 1)正常皮膚pHは男性4.87,女性5.05で,女性は10才台後半から男性では50才を境に高くなる。部位別には前腕より上腕,屈側より伸側が高く,女性では前額部で高いものが多かつた。また,冬は高く,夏は低く,春と夏,秋と冬を境にして大きな変動がみられた。<BR> 2)新生児は出生直後高値であるが,4日目前後に著明な低下をみる。鼠径部では日数による変動が少なく,高い値を維持した。新生児のpHは胎脂,羊水の吸収,分解に影響され,鼠径部では尿による汚染とも関係あると考えた。<BR> 3)第4趾間は第1趾間よりはるかに高く,また白癬の既往のあるものに高い値が多かつたので,趾間白癬の発生と関係あるものと推察した。<BR> 4)陰嚢も鼠径より高く,pH7.0以上を有する例もみられ,変動幅も大きかつた。これは陰嚢の有する特異な解剖学的条件に由来するものと考えたい。<BR> 5)女性では月経期間中にpH値の低下を示し,その変動期間も安定していた。

言及状況

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