著者
森崎 智仁 大仁田 賢 竹島 史直 赤澤 祐子 山口 直之 宮明 寿光 田浦 直太 市川 辰樹 磯本 一 鳥山 寛 中尾 一彦
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.245-252, 2011 (Released:2011-02-07)
参考文献数
22
被引用文献数
1

79歳,女性.上腹部不快感あり,近医にて上部消化管内視鏡検査を施行.進行胃癌を認め,当院紹介.全身精査にて,全身リンパ節転移を認め,S-1単剤化学療法を開始.2カ月後に黄疸と肝機能障害が出現し,S-1を中止した.内視鏡的逆行性膵胆管造影検査にて,肝門部肝管を中心に多発性の胆管狭窄を認めた.肝門部に腫瘍を認めず,S-1による続発性硬化性胆管炎を疑った.加療を行ったが軽快せず,永眠された.
著者
田浦 直
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.296-314, 1969
被引用文献数
1

単極ガラス電極を使用し,正常皮膚表面のpHを測定,統計的考察を加え,つぎのごとき結果をえた。<BR> 1)正常皮膚pHは男性4.87,女性5.05で,女性は10才台後半から男性では50才を境に高くなる。部位別には前腕より上腕,屈側より伸側が高く,女性では前額部で高いものが多かつた。また,冬は高く,夏は低く,春と夏,秋と冬を境にして大きな変動がみられた。<BR> 2)新生児は出生直後高値であるが,4日目前後に著明な低下をみる。鼠径部では日数による変動が少なく,高い値を維持した。新生児のpHは胎脂,羊水の吸収,分解に影響され,鼠径部では尿による汚染とも関係あると考えた。<BR> 3)第4趾間は第1趾間よりはるかに高く,また白癬の既往のあるものに高い値が多かつたので,趾間白癬の発生と関係あるものと推察した。<BR> 4)陰嚢も鼠径より高く,pH7.0以上を有する例もみられ,変動幅も大きかつた。これは陰嚢の有する特異な解剖学的条件に由来するものと考えたい。<BR> 5)女性では月経期間中にpH値の低下を示し,その変動期間も安定していた。
著者
後藤 貴史 石川 博基 佐伯 哲 猪狩 成彦 福田 麻里子 田浦 直太 西村 大介 市川 辰樹 濱崎 圭輔 中尾 一彦 江口 勝美
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.298-303, 2006 (Released:2006-11-28)
参考文献数
20

肝炎後再生不良性貧血の2例を経験した.症例1は35歳男性,2003年4月中旬より全身倦怠感出現し,4月20日にT-Bil 6.2mg/dl, AST 1900IU/L, ALT 3020IU/Lと肝機能異常を認めPT 68%と低下していた.A∼E型の肝炎ウイルスは陰性で各種自己抗体陰性,薬剤の関与も否定的であった.徐々に肝機能は正常化したが,同年7月14日にWBC 3000/mm3, Plt 7.4万/mm3と2系統の血球減少が出現し,7月25日に再入院となった.骨髄は低形成性を呈しCD4/CD8比は0.207と低下していた.症例2は26歳男性,2003年6月下旬より全身倦怠感出現し,7月1日にT-Bil 13.2mg/dl, AST 1748IU/L, ALT 2924IU/Lと肝機能異常を認めPT 62%と低下していた.各種ウィルスマーカーは陰性で肝炎の原因は不明であった.徐々に肝機能異常は改善したが,7月中旬より血球減少が出現した.骨髄は低形成性でありCD4/CD8比は0.335と低下していた.2症例とも免疫抑制剤等の治療により汎血球減少は改善した.若年者の原因不明の肝炎後に再生不良性貧血を合併する事があり注意が必要と思われた.