著者
芹田 枝里 大橋 桂 二瓶 智太郎
出版者
The Japanese Society of Conservative Dentistry
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.510-518, 2014

目的 : コンポジットレジン修復は, 材料の機械的性質の向上, 接着システムの向上, 患者の審美的要求により, 前歯や臼歯を問わず幅広く臨床に応用されている. コンポジットレジンの研磨後の表面性状は, 材料の臨床的予後や審美性に重要であることが知られている. この研究の目的は, 4種類のコンポジットレジンと4種類のワンステップ研磨材を用いて研磨した表面の, 表面粗さ (Ra) と光沢度を評価することである. <br> 材料および方法 : 実験に供試したコンポジットレジンは, クリアフィルマジェスティES-2 (CME : クラレノリタケデンタル, A3), フィルテックシュープリームウルトラ (FSU : スリーエムヘルスケア, A3B), プレミス (PRM : Kerr, BODY A3) およびエステライトΣクイック (ESQ : トクヤマデンタル, A3) の4種類とし, ワンステップ研磨材は, CRポリッシャーPS (CP : 松風, ディスク), オプチワンステップ (OS : Kerr, ディスク), PoGo (PG : デンツプライ三金, ディスク) およびアイポール (IP : へレウスクルツァージャパン, ディスク) の4種類を用いた. コンポジットレジン試料は, 円盤状 (ɸ11mm×3mm) に調整し, 耐水研磨紙#600にて30秒間研磨後, 各種ワンステップ研磨材で30秒間研磨し試料とした. 未研磨試料をNP群, 耐水研磨紙#600で研磨した試料を#600群, ワンステップ研磨材で研磨した試料を, それぞれCP群, OS群, PG群およびIP群とした. 試料は, 表面粗さ (Surfcom590A, 東京精密) とその光沢度 (GM-268Plus, コニカミノルタ) を測定し研磨効果を評価した. 得られた値は, 一元配置分散分析によりα=0.05で統計学的に処理し, Tukey HSDテストによる多重比較検定を行った. さらに, 表面粗さと光沢度に関してPearsonの相関分析を行った. <br> 結果および考察 : 表面粗さ (Ra) は, CMEのNP群が最も高い値を示し, PRMのIP群は最も低い値を示した. 光沢度では, FSUのOS群が最も高い値を示した. 今回使用したワンステップ研磨材でOSとIPは, コンポジットレジン表面を滑沢にし, 高い光沢が得られた. Pearsonの相関分析から, 表面粗さと光沢度の間には, 中等度の負の相関が認められた. <br> 結論 : 本実験の結果から, ワンステップ研磨材はコンポジットレジンの種類によって, 異なる研磨効果が得られることが明らかとなった.

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